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大阪地方裁判所 平成8年(ワ)8750号 判決

大阪市浪速区恵美須西二丁目一四番一号

原告

株式会社シェリフ

右代表者代表取締役

大西正道

右訴訟代理人弁護士

中島健仁

渡辺徹

東京都渋谷区神宮前二丁目一六番一六号

被告

株式会社ウエスタン・アームス

右代表者代表取締役

国本圭一

右訴訟代理人弁護士

宗万秀和

主文

一  被告は、原告に対し、金一五一万九五三円及びこれに対する平成八年九月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを一〇分し、その九を原告の、その余を被告の各負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、別紙取引先目録記載の販売業者及びその販売業の取引先である小売店等に対し、ウエスタン・アームス用のカスタムパーツはすべて不正競争防止法に違反するとの虚偽の事実を告知し、または流布してはならない。

二  被告は、原告に対し、金一二七八万八〇七〇円及びこれに対する平成八年九月五日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、別紙雑誌目録記載の雑誌に各一回ずつ、別紙広告目録記載の文案により、五号活字を使用した広告を掲載せよ。

第二  事案の概要

一  基本的事実関係(争いがないか弁論の全趣旨により認められる。なお、以下、書証の表示は、甲1などと略称し、枝番のすべてを含む場合の枝番号の記載は省略する。)

1(当事者)

(一)  被告は、モデルガン、エアソフトガン等の遊戯銃及びその部品の製造・販売等を業とする会社であり、平成五年一二月から、「ベレッタ・M92FS ブローバック・モデル」(以下「被告ベレッタ」という。)という商品名のエアソフトガンを、平成六年九月から、「コルト・ガバメント・ブローバック・モデル」(以下「被告コルトガバメント」といい、被告ベレッタ及び被告コルトガバメントを併せて「被告エアガン」という。)という商品名のエアソフトガンを開発し、販売するとともに、その個々の部品(以下「被告部品」という。)も販売している。

(二)  原告は、遊戯銃のカスタムパーツ(純正部品に代えて遊戯銃をグレードアップする部品)の製造・販売を業とする会社であり、被告エアガンの発売後、被告エアガン用のカスタムパーツ(以下「原告部品」という。)を製造・販売している。

2(被告による告知行為)

被告は、平成八年七月又は八月ころ、原告部品の販売先である有限会社大友商会等に対し、被告エアガン用カスタムパーツの取扱いについて告知行為を行った(以下「本件告知行為」という。)。

二  原告の請求

本件は、原告が、被告が行った本件告知行為は、原告部品はすべて不正競争防止法(平成五年法律第四七号。以下「本法」という。)によって規制される被告部品の形態模倣品である旨の虚偽の事実を内容としており、原告の営業上の信用を害するものであって、本法二条一項一一号の不正競争行為(以下「営業誹謗行為」という。)に該当するとして、被告に対し、同法三条一項に基づく右行為の差止め、同法四条に基づく損害賠償請求、及び同法七条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案である。

三  争点

1  被告が行った本件告知行為は「虚偽の事実」を内容とするものか。

(一) 被告が行った本件告知行為の内容はどのようなものか。

(二) 原告部品の形態は、被告部品の形態を模倣したものか。

2  被告は原告部品の販売を承諾していたか。また、被告の本件告知行為は禁反言の原則に反するか。

3  被告の本件告知行為が営業誹謗行為に該当する場合、当該行為の差止めを認める必要性があるか。

4  被告の本件告知行為が営業誹謗行為に該当する場合、被告が原告に賠償すべき損害の額及び謝罪広告の要否

第三  争点に関する当事者の主張

一  争点1(被告が行った本件告知行為は「虚偽の事実」を内容とするものか)の(一)(被告が行った本件告知行為の内容はどのようなものか)について

【原告の主張】

1 被告代表者は、平成八年七月二〇日ころ、被告本社において、原告部品の販売先(流通問屋)である有限会社大友商会(以下「大友商会」という。)の代表取締役である友弘利夫(以下「友弘」という。)及び有限会社桑田商会(以下「桑田商会」という。)の代表取締役である桑田富雄(以下「桑田」という。)に対し、「被告エアガン用のカスタムパーツはすべて本法に違反する。被告が承認していない被告エアガン用のカスタムパーツをメーカーから買ったら承知しないそ。」という趣旨の告知を口頭で行った。

2 被告代表者は、平成八年七月下旬ないし八月上旬ころ、原告部品の販売先(流通問屋)である株式会社セキトー(以下「セキトー」という。)の代表取締役である関藤彰に対し、「被告エアガン用のカスタムパーツはすべて本法に違反するので、もしカスタムパーツの在庫を持っているんだったら、メーカーにカスタムパーツ全部を返品してくれ。」という趣旨の告知を口頭で行った。

3 被告代表者は、平成八年八月一〇日頃、別紙取引先目録記載の販売業者ら(流通問屋)の取引先(小売店)である有限会社ホビーショップフロンティアの代表取締役山中彰に対し、「お宅の販売している被告エアガン用カスタムパーツは、本法及び特許法に違反しているので、その売上げ総額の一〇パーセントを支払え。あなたは犯罪者である。」という趣旨の告知を口頭で行った。

4 このように、被告代表者は、原告の取引先に対して、原告部品はすべて被告部品の形態模倣品である旨の告知をしたものである。

5 なお、被告は、種々の文書による通知を指摘して、右の趣旨を否認するが、本件で原告が虚偽事実の告知として主張しているのは、原告の取引先に対する口頭の告知であるから、右は争点と関係のない主張である。

【被告の主張】

1 被告は、平成六年五月一日に旧不正競争防止法を全面改正した本法が施行されて以来、遊戯銃業界に対し、被告部品の形態をまねた製品を製造・販売することが、本法によって禁止されていることを告知し、注意を呼びかけてきた。そのような趣旨で配布された文書(乙22、乙23、甲1)は、いずれも、すべてのカスタムパーツが本法に違反する旨を告知したものではない。

2 被告は、平成六年五月以降、各流通問屋に対し、機会あるごとに、被告が独自に作り得た部品形態をそっくりまねたカスタムパーツは本法に違反すると説明していたが、全く効果が見られず、被告部品の形態を模倣した商品が大量に流通していたことから、平成八年七月末ころ、被告代表者は、遊戯銃を取り扱う流通問屋及びカスタムパーツ・メーカーに対して、再度話し合いを申し入れ、今後の取扱いについて、次の告知をした。

〈1〉 被告が独自に作り得た部品形態をまねたカスタムパーツは本法に違反すること

〈2〉 過去の形態模倣品の販売に対するペナルティとして売上げの五パーセントを支払っていただくこと

〈3〉 形態模倣品に該当する在庫品のうち、日本遊戯銃協同組合の自主規制に合致する安全な商品については、有償で承認シールを貼付してもらうこと

〈4〉 今後、被告部品の形態を使用する場合には、形態使用承認契約を締結し、承認シールを貼付すること

3 このように、被告は、遊戯銃を扱う流通問屋及びカスタムパーツ・メーカーに対して、被告が独自に作り得た部品形態をまねたカスタムパーツは本法に違反する旨を告知したことはあるが、原告部品がすべて被告部品の形態模倣品である旨を告知したことはない。

また、被告が行った告知行為は、単なる法律上の見解の告知であり、また、原告を特定して行ったわけでもない。

したがって、被告の行った本件告知行為は、営業誹謗行為に当たらない。

二  争点1(被告が行った本件告知行為は「虚偽の事実」を内容とするものか)の(二)(原告部品の形態は、被告部品の形態を模倣したものか)について

1  全体的主張

【原告の主張】

以下に述べるように、原告部品の形態は、若干の例を挙げるだけでも被告部品の形態を模倣したものとはいえないから、原告部品の形態がすべて被告部品を模倣したものである旨の被告の本件告知行為は、虚偽の事実を告知するものである。

【被告の主張】

被告は、原告部品の形態がすべて被告部品を模倣したものである旨の告知は行っていない上に、原告が例示する原告部品の形態は、いずれも被告部品の形態を模倣したものであるから、被告の本件告知行為は、虚偽の事実を告知するものとはいえない。

2  被告部品の形態の要保護性について

(一) 総論的主張

【原告の主張】

(1) 日本の遊戯銃業界は、欧米の著名な実銃を忠実にコピーすることにより発展してきたものであり、被告エアガンとて例外ではない。被告エアガンは遊戯銃として高い評価を受けているが、およそ遊戯銃としての品質を向上させるということは一層忠実に実銃をコピーするということにほかならず、被告エアガンの品質が高いということは実銃と酷似しているということを意味する。

したがって、被告部品のほとんどすべてについてオリジナル性は否定される。オリジナルでないものは保護価値がなく、逆に、オリジナルでないものに本法上の保護を与えて独占的利用を認めることは、健全な競争を阻害する。本法二条一項三号(以下本号」という。)は、このような理由から保護に値しない形態を「同種の商品が通常有する形態」として除外している。

右のとおりであるから、被告エアガンは、原則として、そもそも本法の保護を受けられない商品である。

(2) 原告部品は、被告エアガンに組み込むために作られており、そのような本来的性格に伴い、その製作上、不可避的に被告エアガンに取り付けられ得る形態にならざるを得ない。

部品における製作上回避不可能な形態までも本法によって規律されるとすれば、部品業者は窮地に追い込まれることになりかねない。これでは、形態模倣規制の趣旨が、不正な競争行為をなくし、公正な競争を活性化させる点にあるにもかかわらず、かえって、部品業界の競業に活力を失わせるという結果を招来してしまい、その趣旨に反することになる。また、これらの場合を形態模倣として違法と解すれば、ハード(本体)における支配力がソフト(部品)に及ぶことを容認することになり、ハード(本体)の製造業者が唯一のソフト(部品)供給業者という不公正な競争関係を法によって保護するということになりかねない。

よって、部品における製作上不可避的な形態については、本号の適用は除外されると解すべきであり、この理は、被告部品の形態にも妥当するものである。製作上不可避的な形態を有する商品についての先行者の創意工夫は、特許権など他の工業所有権制度の中で保護すれば足りる。

【被告の主張】

(1) 原告は、被告エアガンは実銃をコピーしたものであるから、形態上のオリジナル性がなく、被告部品は「同種の商品が通常有する形態」にすぎないと主張するが、以下に述べるとおり、不当な議論である。

一般に遊戯銃は、「モデルガン」と「エアソフトガン」に大別される。モデルガンは、弾丸発射機構を除かれた実銃のコピーであり、弾丸を発射できないように銃身にはインサート(詰め物)が施されている一方、材質は金属であることが許される。ユーザーは、引き金を引いて火薬を爆発させたり、分解・組立てをすることにより、実銃の雰囲気を楽しむ。こうして、モデルガンは、弾丸を発射しないことを除けば実銃と機構的に違いはない。したがって、モデルガンにおいては、外観はもちろんのこと、各部品の形態も、実銃のそれに酷似すればするほど優秀な製品としての評価を得ることになる。

これに対してエアソフトガンは、ガスの圧力によりプラスチック弾を発射する機構を有する遊戯銃である。実銃の弾丸発射原理は、引き金の操作を契機として薬きょうの底部が打撃され、火薬が爆発し、その力で弾丸を飛ばすというものである。これに対してエアソフトガンは、プラスチック弾をガスの圧力で飛ばすものであり、発射機構が実銃とは全く異なる。こうして、エアソフトガンにおいては、外観は実銃のモデルにできるだけ似せつつ、その内部にはガスガンとしての機構を組み込まなければならない。銃の小さな本体の内部に、改造の危険を避けるための材質的制限を受けつつ、より精度の高いガス発射機構を組み込むことは極めて困難な作業であり、エアソフトガンメーカーの開発努力はもっぱらこの点に注がれ、各社各様の内部機構を作り出している。

被告が開発し、被告エアガンに採用したマグナブローバックシステムは、エアソフトガンにおいて、実銃と同様の作動を初めて実現したものとして高い評価を受け、商業的にも大きな成功を納めた。すなわち、実銃においては、火薬の爆発力により、まず弾丸が発射され、次いでスライダ部が爆発力で後方に押し下げられ、弾倉から次弾を装填して、スライダ部が元の位置に復帰すると同時に次弾の発射準備が完了する。他方、マグナブローバックシステムは、引き金の操作により、まずガスを前方に供給して弾丸を発射し、次いでガスの流れを後方に切り替えてガス圧によりスライダ部を後方に下げ、次弾を発射する準備を行うことにより、実銃と同様の作動を実現している。被告エアガンの部品は、すべてこのような作動を実現する内部機構を構成するために独自に考案されたもので、その一つ一つの形態には被告の長年の開発努力が結実しているのである。

したがって、被告エアガンの形態は、外観は実銃の形態をできるだけ忠実に再現する一方で、作動を実現する部分の形態は被告が独自に開発したものとなっている。商品形態の一部分が「同種の商品が通常有する形態」であったとしても、その他の部分が独自に開発されたものであり、全体として保護を与えるに足りるオリジナルな商品形態をなしていれば、それは本号の形態模倣禁止の保護客体となり得ると解すべきである。この場合、模倣であるか否かは、その独自に開発された部分について判断すべきこととなる。

したがって、実銃のコピーであることを根拠とする原告の「同種の商品が通常有する形態」の主張は、本件に全く妥当しないものである。また、従来各社から販売されているエアソフトガンにおいても、被告エアガンと同様の部品形態を採用しているものはない。

(2) また、原告は、被告部品の形態は「製作上不可避な形態」として本法の保護の対象から除かれるとする。しかし、まず、「商品の部品」が形態模倣禁止の保護客体とならないとする議論は存在しない。部品については、それが商品として独立して流通するものである限り、対象となるとするのが一般である。

また、本法上、形態模倣禁止の適用が除外されるのは「同種の商品が通常有する形態」のみである。形態開発に向けられた労力と資本を保護するという立法趣旨からして、開発努力を伴わない「同種の商品が通常有する形態」の適用を除外することには合理的な理由がある。しかし、原告が主張する「製作上不可避な形態」を除外するとの主張は、法文に根拠がなく、また、本号の立法趣旨からしても導き得ない。

「製作上不可避な形態」を本号の規制の対象から除外すべきであるとの議論は、第一に消耗部品及び修理用部品の市場保護、第二に規格適合品の保護という特別の政策的目的に由来するものである。しかし、そもそも、本法においてそのような配慮が必要であるか、大いに疑問といわなければならない。本体に合致させるために消耗部品及び修理用部品が特定の形態を採らざるを得ない場合であっても、その部品形態自体に先行者が開発のため多大の資本と労力が投下したとすれば、本号の制度趣旨からいって保護を否定する理由はなく、またこの場合にのみ部品業者の「ただ乗り」を容認すべき理由はないというべきである。加えて、本号が定める三年という期間制限は、論者が参考にしている諸外国のデザイン保護期間と比べて圧倒的に短期間である。先行投資をした者に対してわずか三年間程度の先行利益を与えることが、競争政策上、不合理であるとは到底考えられない。

またそもそも、原告が模倣している被告部品は、消耗品でも修理用部品でもなく、まさに遊戯銃本体を構成する一部品であって、右のような消耗部品・修理用部品の市場保護という必要性が全く当てはまらない。原告部品の市場性は、銃砲刀剣類所持等取締法とこれに関連する日本遊戯銃協同組合の自主規制があるため、被告が各部品をプラスチック製あるいは柔らかい金属で製造しなければならないというところに依拠して成立しているのであり、被告の開発努力にただ乗りして(原告自身も右組合の組合員でありながら)硬い金属製部品を製造し法外な価格でマニアに販売するという原告の行為を、被告の開発努力を犠牲にしてまで保護しなければならない実質的な理由は存在しない。

(二) 個々の被告部品の形態の要保護性について

【被告の主張】

(1) 別表〈1〉ないし〈4〉記載の被告部品(以下「被告アウターバレル」及び「被告チェンバカバー」という。)について

ア コルトガバメントの実銃においては、銃身(バレル)は、銃口から薬室に至る単一の鉄製部品として構成されている。これに対し、被告エアガンでは、銃身部分を、プラスチック弾を通過させるインナーバレル・アッセンブリーと、その外側部分であるアウターバレル・アッセンブリーとに分けた。このように両者を分ける構成は、従来のエアソフトガンにもあるが、実銃のショートリコイル動作(発射・装弾に伴う銃身の前後動)を再現するため、発射時において、プラスチック弾が発射されるインナーバレル・アッセンブリーは固定されたまま、アウターバレル・アッセンブリーのみが前後動するものとした点に技術的特徴がある。

そして、被告は、このアウターバレル・アッセンブリーを、筒状のアウターバレルと、後方のチェンバーカバーに分断して二つの部品とし、それぞれの形状を独自に開発した(別紙図面1の1)。

イ まず、アウターバレルは、〈1〉外側から見える部分のために、質感を重視して金属製の真鍮(硬度は自主規制の範囲内)とし、〈2〉改造の危険を防ぐために一部に安全対策上の切欠きを設けた点に特徴がある(別紙図面1の2)。

ウ 次にチェンバーカバーは、〈1〉改造の危険を防ぐためプラスチック製とし、〈2〉ショートリコイル動作を実現するため、脚部の間にインナーバレル・アッセンブリーの基部が入り込む空間を設けており(別紙図面1の2)、〈3〉アウターバレル・アッセンブリーが発射時に後退する動作を実現するためのリンクピンを組み合わせるための穴を有している(別紙図面1の3)ことが特徴である。

エ また、アウターバレル及びチェンバーカバーには、両者を組み合わせるため、それぞれ組合せ用のネジが切られている。

オ 原告は、被告アウターバレル及び被告チェンバーカバーの外観は、実銃のコピーであると主張するが、実銃にアウターバレルはない。実銃の銃身(バレル)は、薬室(チェンバー)から銃口に至る単一の金属部品である。

また、原告が指摘するブローニングハイパワーのバレル及びチェンバー関連部品と被告部品との形態は明らかに異なる。

(2) 別表〈5〉ないし〈7〉記載の被告部品(以下「被告ハンマー」という。)について

実銃におけるハンマーは、ファイアリングピンを打撃して、撃発・発射を起こさせる部品である。実銃のハンマーは、まずシアーにより後退位置に一時的に固定され(コッキング)、次に引き金によりシアーが動かされると固定位置より解放され、ハンマースプリングの反発力により前進し、ファイアリングピンを打撃する。ファイアリングピンはスライド後部を貫通して装弾室の薬きょうの底部を打撃し、火薬が爆発し弾丸が発射される。このような役割をする実銃のハンマーの形状は、軸部前面に上下に二つの切り込み形状(ノッチ)があり、上をハーフコックノッチ、下をフルコックノッチという。このノッチという切込みは、シアーの先端に引っかかるよう設計されているため、シアー先端と同じ幅になるよう設計されており、ハンマーの全幅にわたって設けられている(別紙図面2)。

被告エアガンでは、ハンマーの役割は実銃と異なり、実銃のファイアリングピン打撃位置よりさらに前進させて、ファイアリングピン(名称は実銃と同じであるが、プラスチック弾を発射させるためのガス通路を開くバルブを動作させるピン)を押し込む役割を果たしている。このため、被告ハンマーでは、実銃に備わる二つのノッチのほかに、誤ってハンマーを押し込んでファイアリングピンを押し込まないように、実銃のファイアリングピン打撃位置でハンマーを位置固定するためのリバウンドノッチというものが独自に設けられている(別紙図面2)。

また、実銃と異なりシアーが左側半分程度の幅しかないために、フルコックノッチはハンマー全幅のうちの左半分しか存在しない。この点は、被告エアガンが採用した特殊な内部機構に由来しており、実銃はもとより、他社製品にもない特徴である。

(3) 別表〈8〉記載の被告部品(以下「被告フローティングバルブ」という。)について

フローティングバルブという部品は、マグナブローバックシステムと呼ばれる、被告がエアソフトガンにおける発射機構について発明した特許技術のために、被告が全く新たに創出した部品であり、形状の独自性が顕著である。

フローティングバルブは、ローディングノズル(別紙図面3の2中のLN1図)の中に組み込まれ、ガス圧の変化に応じて軸方向に前後動することにより、ガス通路の切り替えを行う切替弁としての役割を果たしている。すなわち、マガジンから放出されたガスは、まずフローティングバルブの三枚羽根部の間を通って前方に導かれて、プラスッチック弾を発射する(別紙図面3の2中のLN2図)。そうすると、前方の圧力が下がり、フローティングバルブはガスの流れに沿って前方に移動する。すると、フローティングバルブの円盤部が前方ガス通路を塞ぎ、同時に後方ガス通路を開く(別紙図面3の2中のLN3図)。こうして後方へ導かれたガスは、スライダ内の受圧部の圧力を高め、スライダが後方に後退する力となる。

これがマグナブローバックシステムであり、弾丸を発射してからスライダが後退するという、実銃と同じ動作をエアガンの世界で初めて実現したものである。フローティングバルブは、それを実現するための中核的部品であり、これまでのエアガンに全くなかった部品であり、軸と円盤部分と三枚羽根部分とから成る構成そのものが、被告独自の形状である(別紙図面3の1)。

原告は、被告エアガンが採用するバルブの原理を指摘するが、「同種の商品が通常有する形態」であるか否かは形態によって判断すべきであり、意味のない主張である。また、原告が製造していたというコルトM16ニューエアースイッチは、被告エアガンとは全く形態が異なり、「同種の商品が通常有する形態」の参照事例とはなり得ない。

【原告の主張】

被告は、別表〈1〉ないし〈8〉記載の原告部品について、同記載の被告部品の形態を模倣したものであると主張し、右被告部品の形態について種々の独自的特徴を指摘する。しかし、以下のとおり、右被告部品の形態の特徴点として被告が主張する点は、いずれも同種の商品が通常有する形態又は製作上不可避な形態である。

(1) 被告アウターバレル及び被告チェンバーカバーについて

被告は、被告アウターバレル及び被告チェンバーカバーについて、種々の形態的特徴を指摘するが、それらはいずれも「同種の商品が通常有する形態」か「製作上不可避な形態」に当たる。

ア まず、被告アウターバレル及び被告チェンバーカバーの外観は、実銃のコピーであるにすぎない。

イ 被告エアガンの銃身部の部品が、インナーバレル・アッセンブリーとアウターバレル・アッセンブリーとに分かれている点は、オリジナル性がなく、同種の商品が通常有する形態である。

すなわち、被告エアガンよりも先行して、遅くとも平成五年二月までに発売されているブローニングハイパワーや遅くとも平成五年四月までに発売されているガバメントMKⅣは、既に銃身部をアウターバレル・アッセンブリーとインナーバレル・アッセンブリーに分けていた。

ウ 被告エアガンの銃身部の部品が、アウターバレル・アッセンブリーをアウターバレルとチェンバーカバーに分断している点も、オリジナル性がなく、同種の商品が通常有する形態である。これも、ブローニングハイパワー及びガバメントMKⅣのうちに既に見られる。

エ 被告アウターバレルが金属(真鍮)製である点も、オリジナル性がなく、同種の商品が通常有する形態である。ブローニングハイパワーのアウターバレルも金属製である。

オ 被告アウターバレルに切欠きを設けた点も、オリジナル性がなく、同種の商品が通常有する形態である。被告アウターバレルよりも先行して、遅くとも平成五年八月までに発売されているコルトXM177E2は、既にアウターバレルに切欠きを設けている。

カ 被告チェンバーカバーがプラスチック製である点も、オリジナル性がなく、同種の商品が通常有する形態である。コルトXM177E2のチェンバーカバーはプラスチック製である。

キ チェンバーカバーの脚部にインナーバレル・アッセンブリーの基部が入り込む空間を設けた点は、製作上不可避な形態である。原告部品のチェンバーカバーにこの空間を設けないと、被告のインナーバレル・アッセンブリーを組み込むことができず、右形態は互換性を維持するために避けることができない。

ク チェンバーカバーにリンクピンを組合せるための穴を有している点も、製作上不可避な形態である。原告部品のチェンバーカバーに、この穴を設けないと、リンクピンを組み合せることができず、右形態は互換性を維持するために避けることができない。また、リンクピンを組み合わせていることは、実銃のコピーにすぎない。

ケ アウターバレルとチェンバーカバーに組合せ用のネジを切っている点は、オリジナル性がなく、同種の商品が通常有する形態である。これも、ブローニングハイパワー及びガバメントMKⅣのうちに既に見られる。

(2) 被告ハンマーについて

ア まず、被告ハンマーの形態は、実銃のコピーであるにすぎない。すなわち、被告エアガンは実銃と同一の発射原理(銃全体の後部にハンマーを設け、その指掛け部を後退させてノッチを固定し、ノッチを外した力で打撃面にファイリングピンを打撃するという原理)である以上、被告ハンマーは、実銃同様、指掛け部、打撃面及びノッチの三要素を構成要素とせざるを得ないため、実銃と酷似しているのである。

イ 被告は、ノッチの形状を被告ハンマーの形態上の独自性として主張している。しかし、被告自ら、これらの形態は、被告エアガンが採用した特殊な内部機構に由来していると述べているとおり、それらはいずれも互換性を維持するための製作上不可避な形態である。

(3) 被告フローティングバルブについて

ア フローティングバルブは、ガス通路の方向を切り換え制御する移動可能な円盤状の弁である。ところで、空気圧技術論において、空気の通路よりも大きい円盤状の弁(バルブ)を移動させて、空気の流れる方向を切り換える基本方式の中に、ポペット方式というものがあり、プローティングバルブはポペット方式におけるバルブ(制御弁)にすぎない。

イ 加えて、原告は、被告に先駆けてフローティングバルブを製作・販売していた。原告は、平成三年八月、既に「コルトM16ニューエアースイッチ」との名称で、ポペット方式の部品を販売していたものである。

ウ したがって、被告フローティングバルブはオリジナル性を全く有しておらず、同種の商品が通常有する形態にすぎない。

2  被告部品と原告部品の形態上の実質的同一性について

(一) 総論的主張

【原告の主張】

(1) 原告部品のうち、別表〈1〉ないし〈12〉の商品については、被告部品との間に、各別表記載の形態上の相違がある。

(2)ア 本号の趣旨は、商品形態の模倣により、先行者の市場先行のメリットが著しく減少して、模倣者と先行者の間には競争上著しい不公正が生じ、個性的な商品開発、市場開拓の意欲が阻害されることを防止する点にある。したがって、模倣か否か(形態上の実質的同一性があるか否か)は、先行商品の属する当該市場の視点から、さらに言えば、当該市場の構成員たる需要者層の視点から判断すべきである。なぜなら、当該市場に興味・関心のない者からすれば、先行商品と後発商品との差異が微細に見えたとしても、当該市場の需要者層がその差異をもって全く異なった商品であると認識するのであれば、先行者の市場先行のメリットを著しく減少させることはないし、後発者と先行者の間に競争上著しい不公正が生じることもないからである。

ところで、誰しも、多かれ少なかれ、自らの関心事ないし趣味の領域において、他人との差別化を図りたいという欲求を有しているが、遊戯銃マニアにおいては、他人との差別化を図りたいという欲求の対象が遊戯銃に向けられているため、既製品に満足できず、「自分だけの一挺」とするべく改造をする。そして、かかる遊戯銃マニアの欲求が、純正部品と異なる形状をした部品の需要を生み出し、その需要に応えるべく、カスタムパーツが供給される。

このように、遊戯銃の需要者層は、まさに、純正部品と異なる形状を有するという点に、カスタムパーツの存在意義があると捉えている。したがって、カスタムパーツメーカーは、いかにして純正部品と形状を異にするかという点に腐心しているのであるから、カスタムパーツとは、形状を酷似させることを意図したデッドコピー商品の対極に位置付けられる商品であるといえる。

イ また、カスタムパーツは、通例、純正部品よりも、かなり高価にて販売されている。原告部品と被告部品を比較しても、アウターバレルは二倍、チェンバーカバーは七・二五倍から八・五倍、ハンマーは四・七五倍から五・六二五倍、フローティングバルブに至っては実に九・三三倍と、原告部品は被告部品よりもはるかに高価である。遊戯銃マニアは、双方の形態が異なると認識しているからこそ、その形状の差異に価値を見出し、二倍ないし九倍もの価格差があるにもかかわらず、原告部品を購入するのである。

通例、デッドコピーを企図する者は、先行者の市場先行のメリットを著しく減少させるべく、模倣の対象となった商品と同価格か、あるいは安価な価格にて販売する。ところが、原告部品は被告エアガンよりも高額である。この点、デッドコピーが問題となっている訴訟の中では特異な事情である。

(3) このように、遊戯銃市場の需要者層は、別表〈1〉ないし〈12〉の差異をもって、全く異なった商品であると認識しているのであるから、被告の市場先行のメリットを著しく減少させることはないし、原告と被告との間に競争上著しい不公正が生じることもない以上、双方商品間には実質的同一性はないというべきである。

【被告の主張】

(1) 別表〈1〉ないし〈8〉の各部品について、原告部品と被告部品との間に同表記載の相違が存することはおおむね認める。

(2) 本件で形態の実質的同一性を論じる上で最も重要なことは、原告部品は、すべて、被告エアガンに組み込むために作られた部品であることである。これら原告部品は、被告エアガンに組み込まれて、正常に作動しなければならないという宿命を持っている。したがって、原告部品を製造するに当たっては、〈1〉必然的に被告部品にアクセスせざるを得ず、また、〈2〉被告部品と実質的に同一な形状を維持しなければならないのである。そのため、原告が、被告部品に創作的な改変を加えようとしても、色、質感、サイズ等の些細な変更といった部分にしか及ばず、全体としての商品形態は被告部品を模倣したものにならざるを得ないのである。

また、原告は、原告部品の方が被告部品に比べて価格が高いにもかかわらず売れるのは、形態が異なるからであると主張するが、そのような異常な価格設定でありながらなお市場性を有し得る理由は、原告も組合員である日本遊戯銃協同組合の自主規制では許されない材質を使用しているからにほかならない。また、原告部品が市場性を有し得る最大の理由は、その商品形態が被告部品と同一であり、そのために被告が形態開発に際して意図した作動・効果が得られるからにほかならない。

(二) 個々の部品についての主張

【原告の主張】

(1) アウターバレルについて(別表〈1〉ないし〈4〉)

まず、原告部品が銃口部に段差を設けなかったのは、実銃のコルトガバメントに段差がないものが多いため、より実銃感を出すことを目的にしている。

次に、原告部品が銃口部内径に突起物を設けなかったのは、発射時に突起物が乱流を生ぜしめ命中精度を低下させるため、突起物を削除したものである。

また、全長を二一ミリメートルも延長した理由は、銃身の延長により整流効果(露払い効果)が得られ、命中精度が向上すること、サイレンサー(消音器)の装着を可能とすることにある。

さらに、原告部品の直径を被告エアガンの最大直径よりも〇・二ミリメートル小さくした理由は、原告部品に引き目を付けたことから、ブローバックによるスライドに抵抗が生じたため、試作実験により〇・二ミリメートル直径を小さくすることによりスライドを滑らかにしたものである。

加えて、色彩の点についても、鉄を熱処理して透明感ある青色としたり、鉄を削り出して鉄本来の色を残したりと工夫を凝らしている。

(2) チェンバーカバーについて(別表〈2〉ないし〈4〉)

原告部品は側面に小窓を付けているが、その理由は次の二点にある。

〈1〉原告が別途販売しているインナーバレル(別表〈9〉)は、被告のインナーバレルと装着部が異なるため、その装着後、正しく装着されているかどうか確認する必要があるところ、右小窓がなければ、装着確認をするために一々本体を分解しなければならず、繁雑になるため、部品装着の確認用として設けた。〈2〉また、小窓から圧縮ガスを漏らせることにより、必要以上の発射圧力を得られないようにした。

また、量的形状・模様・色彩についても、より実銃感を出すべく被告エアガンにない工夫を凝らしている。

(3) ハンマーについて(別表〈5〉ないし〈7〉)

被告は、原告部品のノッチ部が被告エアガンのノッチ部と同一である旨主張している。しかしながら、被告エアガン本体のファイアリングピンが斜め下を向いていることから、原告部品のノッチ部を被告エアガンのノッチ部と同一にしなければ、被告エアガン本体にフィットしない。まさに、このノッチ部の形態は、製作上回避不可能な形態である。前述のとおり、製作上不可避な形態については本号の適用が除外されるから、ノッチ部の同一性をもって、模倣の主張をすることはできない。

他の相違点については、打撃面に補強材を用いないこと、指掛け部を短くして他の部品を傷付けないようにしたこと、側面に二つも穴を開けたこと、模様・色を変えてリアリティ・高級感を出していることなど、様々に工夫して改変を施している。

(4) フローティンブバルブについて(別表〈8〉)

原告フローティングバルブにおいて、三本羽根部、ゴム部分及び軸をそれぞれ小さく設計しているのは、圧縮ガスの流れをよりスムーズにするためである。

(5) その他の部品について(別表〈9〉ないし〈12〉)

インナーバレル等の部品についても、それぞれ別表記載の形態上の相違がある。

【被告の主張】

(1) アウターバレルについて

原告が別表〈1〉において指摘するアウターバレルの形態の相違点は、いずれも些細な相違にすぎない。特に、銃口部の段差がない点及び銃口部内径の突起物がない点は、加工の手間を省いたものにすぎない。また、全長の相違もわずかにすぎない(なお、別表〈2〉〈3〉における原告アウターバレルは、被告アウターバレルと全長が同一である。)。

(2) チェンバーカバーについて

原告が別表〈2〉ないし〈4〉で指摘する相違点のうち、製品側面に楕円形の小窓を設けている点は、被告チェンバーカバーに単に穴を開けたにすぎない。原告は、この改変について、内部部品を確認できるようにするため及び圧縮ガスを漏らせることによりプラスチック弾の発射威力が必要以上に高くならないようにするためと主張するが、チェンバーカバーにおいて内部部品を確認したいとのニーズはない上に、チェンバーカバー内は強いガス圧がかかる部分ではなく、また、チェンバーカバーの下部の脚の間の部分は大きく開いており、新たにガス抜きを設ける必要はない。小窓を設けた真の理由は、原告のアウターバレルとチェンバーカバーを組み合わせると、硬い金属でできた一本の銃身(実銃と同じ)が完成してしまう点にある。改造の危険を指摘された場合の言い訳として一部に窓を設けたのである。

また、被告チェンバーカバーのネジ部が一部平面になっているのは、プラスチック成形であるからであり、原告チェンバーカバーのネジ部が円であるのは、金属をネジ切りで削って加工しているからであるにすぎない。

その他、寸法が若干異なる点は些細な相違にすぎず、材質や表面仕上げに由来する色・模様・重量などは形状の同一性に関係のない事項であり、これらが相違しても形態模倣性には影響がない。

一般に、本号の「形態」の意義としては、「商品と形状、模様、色彩、光沢との結合」と広く解されている。しかし、このことは、形状をそっくりまねて、色や模様だけを変えれば形態模倣にならないということを意味しない。遊戯銃の部品の開発に向けられた資本と労力は、主としてその形状に投下される。これに対し、材質は表面加工方法を変えて模様や質感を変更することは、当業者にとって容易なことだからである。遊戯銃の部品において、形態模倣であるか否かは、形状の実質的同一性にかかっているというべきである。

(3) ハンマーについて

原告が別表〈5〉ないし〈7〉で指摘する相違点のうち、素材がステンレスなので補強材を埋め込んでいない点は、形状とは直接関係がない点であり、原告が単に自主規制違反の硬度の材質を使用していることを意味しているにすぎない。

また、その他の点は、些細な寸法の相違や、形状とは関係のない色、模様、重量の相違にすぎない。

そもそもエアソフトガンにおけるハンマーの形状で最も重要な部分は、発射動作を実現するためのノッチの形状であり、開発努力は専らこの部分に注がれる。なぜなら、実銃のハンマーのノッチ形状は、実銃の発射原理に由来しており、エアソフトガンにおいて直ちに採用できないからである。このため他社製品には、ハンマーを完全な飾りとし、作動機構としていないものもある。原告ハンマーは、この点において、完全に被告ハンマーのコピーである。

(4) フローティングバルブについて

原告が別表〈8〉において指摘する相違点は、いずれも些細な点であり、軸と円盤部分と三枚羽根から成るという被告において初めて創出された形状は、そのままに維持されている。原告は、ガスの流れをスムーズにするためにそれぞれの部分を小さく設計したと主張するが、基本的には、元々プラスチック製であるものを金属製の部品としたために、全体の重量を抑える必要があることに起因しているものと考えられる。

また、その他の点は、形状とは関係のない色、模様、重量の相違にすぎない。

(5) その他の部品について

原告が別表〈9〉ないし〈12〉において指摘する原告部品についても、被告部品の形態を模倣したものである。

三  争点2(被告は原告部品の販売を承諾していたか。また、被告の本件告知行為は禁反言の原則に反するか。)について

【原告の主張】

1 被告は、本法が施行された平成六年五月一日以降も、さらに、本件告知流布行為がなされた平成八年七月下旬以降も、訴外三ツ星商店から原告部品を仕入れて、その販売を行っており、被告代表者はこのことについて認識・認容していた。

2 法人の営業活動における承諾権限者(例えば、代表取締役)が、ある商品を自己の販売営業活動に利用することを認識・認容していた場合、当該商品が模倣商品であったとしても、当該商品の製造販売を承諾したものと評価される。そして、模倣行為の被害者が当該模倣行為を承諾した場合、当該模倣行為の違法性は阻却される。

3 また、およそ私権の行使については、「自己の行為に矛盾した態度をとることは許されない」との禁反言の原則(民法第一条)が常に適用される。そして、被告による原告部品の販売行為と原告部品の販売禁止の主張とが矛盾することは論をまたないから、被告の右主張は禁反言の原則に違反しており、許されない。

4 よって、被告は、原告に対して、原告部品が本法に違反するとの主張をすること自体が許されないのであるから、その旨を告知する行為が虚偽事実の陳述であることは明らかである。

【被告の主張】

1 被告が被告店舗において、原告部品を一部販売していた事実は認める。

2 しかし、被告の小売部門は他社の製品も取り扱っており、店舗の運営をしている社員が、自己の判断で問屋から送られてきたカタログ等により仕入れを行っている。被告代表者は、日常的な店舗の運営にはタッチしておらず、店舗の担当者は、知的財産権にまつわる問題点について問題意識がなかった。

訴外三ツ星商店は、新製品が出ると被告小売部門からの注文を待たずに当該商品を送付してくるため、被告代表者が知らない間に、原告部品が店頭に並べられていたことはあったが、これは、被告代表者が気付いた時点で撤去させている。

3 被告は、本法が施行された直後の平成六年六月から、業界に対し、一貫して、形態模倣のカスタムパーツを被告に無断で販売することはできない旨を訴えてきたのであり、この被告の基本的態度は、製造者、問屋、小売店を問わず、遊戯銃業界の者であれば誰でも知っていた。また、原告に対しては個別に警告も行い、形態模倣の交渉が行われて決裂した経緯がある。

4 また、原告による模倣品の製造販売は、被告小売店舗における販売とは全く無関係に行われており、原告が、被告が形態模倣品の販売を承認しているといった状況は存在しない。

5 このように、被告が原告による形態模倣行為を承認した事実はなく、また、禁反言の原則にも反しない。

四  争点3(被告の本件告知行為が不正競争行為に該当する場合、当該行為の差止めを認める必要性があるか。)について

【被告の主張】

1 本件訴訟において、原告が被告による営業誹謗行為であるとして、その差止めを求める行為は、原告部品のすべてが被告部品の形態を模倣したものである旨を原告の取引業者に対して告知する行為である(なお、被告がこの事実を争うことは、争点1(一)に関する被告の主張のとおりである。)。

2 しかし、被告は原告主張の営業誹謗行為を行っておらず、また、今後ともこれを行う意思もないことから、その差止めを求める利益は存しない。

3 また、本法が形態模倣行為を禁止しているのは、保護される他人の商品が最初に販売された日から三年間であるところ、被告ベレッタは平成八年一二月に、被告コルトガバメントは平成九年九月二一日をもって右期間が経過している。

したがって、現時点においては、原告主張の営業誹謗行為は、既に原告部品の販売にとって何ら妨げにならないものとなっているから、その差止めを求める利益は法律上存しない。

4 原告は、取引先が一般的に形態模倣禁止期間の経過を知っているわけではないと主張する。

しかし、被告が形態模倣の問題を業界に指摘した平成六年六月以降、形態模倣の問題は遊戯銃業界において重大な関心事となっており、とりわけ後記仮処分決定は業界紙にも大きく取り上げられ、右決定が平成一〇年九月二一日までの期限付決定であることは広く知られている。したがって、遊戯銃のパーツを扱う業者であれば、被告部品についての形態模倣禁止の期間を知っているか、仮に知らなくとも容易に知り得ることである。さらに、そのことを知らない業者に対しては、原告が説明をすれば足りることである。

また、原告の取引業者が右期間の経過を知らないとしても、そのような事態について被告が責任を負わねばならない理由はない。原告主張にかかる営業誹謗行為が本法違反の事実の告知を内容とするものである以上、その事実の告知が法的に無意味になった時点においては、営業誹謗行為による効果も当然に失われるというべきである。

【原告の主張】

被告部品についての形態保護期間が経過したことを、原告のすべての取引先が認識しているのであれば、被告による営業誹謗行為の影響力は弱まったと言えるかも知れないが、およそ一般人が本法上の形態模倣行為の禁止期間を知っているわけではなく、また、原告の取引先すべてが一般人と異なって右期間を認識しているわけでもない。

したがって、原告の取引先は、保護期間が経過したために原告部品を自由に販売してよいようになったと認識しているものではなく、その認識がない以上(現に、現在においても、取引再開の告知行為は全くない。)、原告の取引先に対する営業誹謗行為の影響力は現存しているから、現時点においても、なおその差止めを求める利益はある。

五  争点4(被告の本件告知行為が不正競争行為に該当する場合、被告が原告に賠償すべき損害の額及び謝罪広告の要否)について

【原告の主張】

1 (基本的主張)

(一) 原告の別紙取引先目録記載の取引先との取引は、本件告知行為の直後(平成八年八月ころ)から全くなくなってしまった(甲32)。それまで、右取引先から継続的にあった注文が、本件告知行為が行われた時期に、突如として完全に途絶したことからすれば、その完全途絶は明らかに本件告知行為に起因する。

このように、営業誹謗行為によって注文が完全に途絶した場合の損害額の算定方法については、当該行為直前の一年間の売上合計を基にして、当該行為のあった時からその行為が撤回された時までの期間について、原告の売上額を推定した上で、その推定売上額に粗利益率を乗じた金額を損害額とすべきである。

本件においては、本件告知行為直前の一年間(平成七年八月から平成八年七月まで)の原告部品の売上げは、一二二七万四五八四円である(甲32)。これを基にして、本件告知行為によって取引の完全途絶した平成八年八月から平成一〇年三月までの期間の推定売上額を求めると、二〇四五万七六四〇円となる(12,274,584÷12×20=20,457,640)。ところで、本件営業誹謗行為の影響を受けていない直前の一年間の粗利益は六二・五一パーセントである。よって、本件損害額は一二七八万八〇七〇円となる(20,457,640×0.6251=12,788,070)。

(二) 仮に右主張が認められないとしても、〈1〉被告の営業誹謗行為によって原告部品について卸売り取引が突如として完全に途絶したこと、〈2〉原告は、本件告知行為のあった当時、原告部品を営業の主力商品にしていたこと、〈3〉右取引の完全な途絶により、原告は赤字に陥り、倒産しかかったこと、〈4〉本件につき法的手続を執るため、本訴提起前に仮処分の申立ても行ったこと、〈5〉本件告知行為の内容が極めて激しく、その態様が極めて強引であったこと等、一切の事情を総合考慮すると、右信用毀損による原告の損害額は一〇〇〇万円とすべきである。

2 被告は、損害額の計算方法について種々の主張をするが、すべて失当である。

(一) 被告部品の形態が保護される期間が経過していることは、争点3に関する原告の主張のとおり、それ以後の損害賠償を否定する理由とはならない。

(二) また、後記仮処分決定に係る原告部品に関する損害については、現在、東京地方裁判所において右の本案訴訟が係属・審理されており、右決定が維持される見込みはないから、右損害も賠償の対象とされるべきである。

(三) 原告の損害額計算の基になった資料の信用性に関して、疑問を挟む点は何ら存しない。

【被告の主張】

1 原告の部品は、平成八年八月以降も流通しており、また、原告の店舗においても販売している。したがって、右の時期以降、原告部品の取引が完全に途絶した事実はない。

2 仮に右の時期以降、原告から原告部品を購入しない取引先があったとしても、それは、被告が本件告知行為を行ったためではない。

本件告知行為当時、原告は、カスタムパーツの販売には形態模倣規制は適用されないとか、形状は同一であっても材質や色合いを変えたり寸法にわずかな違いをつけるだけで形態模倣に該当しなくなるとして、原告部品を販売してきており、その大部分は被告部品の形態模倣品であった。しかし、平成八年七月二四日に、被告が有限会社ホビーフィックス(「以下「ホビーフィックス」という。)等に対して被告エアガンのカスタムパーツの販売が形態模倣行為に該当するとして、その差止めを求めた事件について、ホビーフィックス等がカスタムパーツの販売等をしない旨の和解が成立したことや、被告による本件告知行為を契機として、形態模倣規制を強く認識した原告の取引先が、右のような営業姿勢の原告との取引を危険視し、自衛の観点から、自らの判断において、原告と被告の協議が調うまで取引をしないこととしたものである。

また、原告の取引先が、原告との取引を止めた理由には、近年、銃刀法関連事犯の増加に伴い、遊戯銃の安全性を守ろうとする機運が高まっており、政府・銃器対策本部による銃器対策推進要領とこれに基づく通産省の指導もあって、改造銃の誘因となりかねない金属製部品の取扱いには特に注意が呼びかけられており、中でも硬い金属で作られたアウターバレル等の基幹部品は、特に要注意であるとされていながら、原告がこのような商品を数多く取り扱っている点が関係していると考えられる。

このように、原告部品を取引先が取り扱うのを止めたのは、原告の責めに帰せられるべき問題であり、また、仮に原告の信用が毀損されたとしても、それは原告の右のような営業姿勢に帰せられるべき問題であって、いずれも被告の本件告知行為との間には因果関係はない。

3 また、損害額の計算についての原告の主張は、次のとおり失当である。

(一) 争点3に関する被告の主張のとおり、被告部品の形態が保護される期間は既に経過しており、その後の原告部品の販売は自由なのであるから、右期間経過後の損害については、被告の告知行為との間に因果関係がない。

(二) 被告は、原告に対し、平成八年一〇月七日、別表〈1〉ないし〈8〉の原告部品の販売が被告部品の形態模倣行為に該当するとして、その製造・販売等の差止めを求める仮処分を、東京地方裁判所に対して申し立てたところ、同裁判所は、平成九年八月一九日、別表〈2〉ないし〈4〉の原告部品のうちのチェンバーカバー及び別表〈5〉ないし〈8〉の原告部品について、平成一〇年九月二一日まで製造・販売等の差止めを認める仮処分決定を行った。原告部品のうち右仮処分決定の対象となったものに関する損害については、被告の告知行為との間に因果関係がない。また、その他の原告部品についても、形態模倣か否かを確認できないまま損害を賠償すべき理由はない。

(三) 原告の損害額の計算では、売上から製造原価を控除した粗利益を損害額としているが、製造業にとって重要かつ不可欠なコストである一般管理費を無視することは正当でない。また、原告が前記仮処分事件の本案訴訟において提出した利益率に関する資料(乙29)とも異なる。

(四) その他、原告の損害額の計算の根拠となった原告の資料(甲32、33、42)の信用性等にも問題がある。

第四  争点に対する当裁判所の判断

一  争点1(被告が行った本件告知行為は「虚偽の事実」を内容とするものか)の(一)(被告が行った本件告知行為の内容はどのようなものか)について

1  後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、被告エアガンのカスタムパーツをめぐる経過については、次の事実が認められる。

(一) 被告は、平成五年一二月から、被告ベレッタを、平成六年九月から、被告コルトガバメントの販売を開始した(前記基本的事実関係)。

(二) 被告は、本法が平成六年五月一日から施行され、そのころ、被告ベレッタのカスタムパーツが市場に流通し始めていたことから、同年六月一三日、遊戯銃を取り扱っている全国の問屋に対して、ファックスで、同法によって新たに導入された形態模倣行為の規制の趣旨を説明するとともに、「加えて、上記パーツ類には日本遊戯銃協同組合の安全基準を満たしていないものも多く、ユーザーの皆様に思わぬ危険が及ぶのではないかとも、危惧しております。」、「この点について十分ご理解いただき、当社商品について不正競争防止法違反となるおそれのあるものは取扱われませんよう、お願い申し上げます。」等と記載された文書を送信した(乙21、乙22)。

(三) また、被告エアガン用のカスタムパーツを製造している業者に対しては、右自主規制に適合している製品は適正な形態使用を承認する用意があることを伝え、形態使用承認契約を締結するよう呼びかけた(乙22)。

その上で被告は、平成六年一〇月ころ、被告コルトガバメント用のカスタムパーツの発売を予定していた原告との問でも同様の交渉を行ったが、原告部品の形態模倣性の有無、形態使用許諾料や使用材質等の点で折り合いがつかなかった(乙9、乙22、原告代表者本人の供述)。

(四) 被告は、原告を始めとするカスタムパーツ製造業者が被告の呼びかけに応じなかったため、平成七年七月、株式会社むげん、ホビーフィックス及び有限会社千里に対し、一定のカスタムパーツが被告部品の形態を模倣したものであるとして、それらの販売等の差止めを求める訴訟及び仮処分を東京地方裁判所に対して申し立てた(乙21)。右事件は、平成八年七月二四日、当事者間で訴訟上の和解が成立し、株式会社むげん外は、右事件の対象となったカスタムパーツの販売をしない旨を約するとともに、被告に対して和解金を支払い、併せて「月刊GUN」ほか二誌に、事件の対象となったカスタムパーツは本号に抵触するとの判断をするに至ったため、商品の取扱いを中止することとなった旨の通知文を掲載することが約された(乙1)。

(五) 右合意に基づき、「月刊アームズ・マガジン」の平成八年一〇月号ほか二誌に、右事件の当事者の連名で、問屋及び販売店宛に、「ウエスタン・アームズ製ブローバック・モデル向けカスタムパーツの販売中止と回収のお知らせ」と題する通知文が掲載された。また、同号には、それと並んで、被告名義で、「WA『マグナ』ブローバック用カスタムパーツのお取り扱いについてのお知らせ」と題する告知文が掲載された。後者の告知文は、「現在、当社製品向けカスタムパーツが多数市場に流通しておりますが、……当社の承諾なく当社製品の形態を模倣した商品を販売する行為は、不正競争防止法二条一項三号により禁止されております。」として、カスタムパーツの承認に関する事項を告知する内容となっている(乙21、乙23)。

(六) また、被告は、(四)の和解が成立した翌日である平成八年七月二五日、遊戯銃の取扱業者に対して、「お知らせ」と題する書面をファックスにて送信した。そこには、「ウエスタン・アームズの『マグナ』ブローバック・シリーズ用未承認カスタム・パーツを製造・販売なさっているパーツ・メーカーの皆様にお知らせいたします。このたび当社の承認なく販売されていた(有)ホビー・フィクス、アンクル、ムゲン等のカスタムパーツは裁判の結果、不正競争防止法に該当するということで今般和解が成立しました。そこで従来の未承認カスタムパーツの取扱いと、承認の件につきましてお話し合いをしたいと考えております。(従来までに販売なさった商品についても承認のお話し合いをしたいと思います。)今後、当社の『マグナ』ブローバック・シリーズ用としてカスタム・パーツを製造・販売する際には、商品形態の使用申込をして頂き当社発行の「WA認定シール」を貼付の上、販売して頂きたくお願いする次第であります。…」等と記載されている(甲1)。

(七) 被告代表者は、(四)の和解が成立する直前である平成八年七月二〇日ころ及びその後の八月中旬ころ、原告部品を取り扱う問屋である大友商会及び桑田商会の各代表者と面談して、右各代表者に対して、原告部品を含む被告エアガン用カスタムパーツの取扱いについて、口頭で告知を行った。そこでは、被告代表者は、本法の形態模倣規制について説明をし、今後被告エアガン用のカスタムパーツには被告の承認シールを貼るとともに形態使用承認料を支払うべきこと、形態使用の承認をするためには従前の売上の五パーセントを被告に支払うべきこと、売上を把握するために伝票を提出すべきこと等を求め、伝票の提示がない場合にはそれぞれの取引先である小売店に対して申入れをすることになる旨を告げた。この際、被告代表者は、対象となるカスタムパーツを個々に特定して告知を行ったわけではなく、ただ、大友商会代表者の友弘が、被告代表者の説明からすべてのカスタムパーツが対象となるものと思い、グリップやスプリングも対象となるのかと問うたのに対し、被告代表者は、それらは対象外である旨答えた。友弘は、形態模倣に該当するものについては承認料を支払う必要があるとは考えたが、何が形態模倣に該当する部品なのかについてはそれ以上質問をしなかった。また、桑田商会の代表者である桑田は、被告代表者の説明から、被告エアガン用のすべてのカスタムパーツが対象となるものと理解した。こうして、桑田商会及び大友商会は、小売店に迷惑がかかるのを避けるため、すべての原告部品について、平成八年八月以降、取扱いを停止した(甲5、甲6、乙21、証人友弘及び同桑田の各証言、被告代表者の供述)。

(八) 被告代表者は、(四)の和解が成立する見込みとなった平成八年七月以降、原告代表者と何度も電話で交渉をしたが、そのうちの一回である同年八月六日のやりとりの中では、「わが社に関して、わが社の商品に関して作ったものすべてを含んだ売上の二年半に遡る承認料をお支払い下さいってお願いしてあんじゃない」などと、述べている(甲7)。

(九) 被告代表者は、平成八年九月二七日、遊戯銃の問屋の団体である西日本防犯遊戯銃懇話会において、二時間にわたる会合の中で、本法の形態模倣規制について説明するとともに、被告エアガン用カスタムパーツの販売について被告の承認が必要であること、スプリング、ピン、グリップについては対象外であるが、被告が独自に考えた部品の形態を模倣したものは対象である旨の説明を行った。この際、被告代表者は、個々のカスタムパーツを特定して対象となるか否かを説明したわけではなく、有限会社大阪共栄通商(以下「大阪共栄通商」という。)の代表者である辻元達夫(以下「辻元」という。)も、何が該当するかについてはぼんやりとした認識を持つ程度であった。そして、大阪共栄通商は、この後、本法に違反する商品は販売することができないと認識したこと及び小売店からの発注もなくなったことから、原告部品の発注をすべて止めた(乙24、証人辻元の証言)。

(一〇) 被告代表者は、平成八年一〇月ころ、遊戯銃の問屋の団体である東日本防犯遊戯銃懇話会において、被告が取得したマグナブローバックシステムに関する特許、本法の形態模倣規制及び被告エアガン用のカスタムパーツの取扱いについて、長時間の説明をした(証人桑田及び同友弘の各証言)。

2  右認定にかかる事実、とりわけ、平成六年六月時点での通知文書の内容及び平成八年一〇月号の「月刊アームズマガジン」誌等に掲載した告知文の内容、平成八年七月下旬以降の交渉又は説明において、被告代表者はスプリング、ピン及びグリップを形態模倣規制の対象から除外していること、本件における被告代表者本人尋問においても、一定の原告部品について形態模倣品とはいえないと明確に供述していることからすると、被告代表者が関係者に告知・説明した趣旨又は意図は、すべてのカスタムパーツが形態模倣規制に抵触するというものではなく、被告が独自に形態を考案した部品を模倣したカスタムパーツは本法に抵触するということであったと推認される。そして、前記の各局面において、被告代表者が関係者に対して、本号の趣旨等について長時間の説明をしていることからすると、右の趣旨は話の中で一応関係者に述べられたものと推認される。

しかし、前記の各経過の中で、右の趣旨又は意図がそのまま明確に関係者に述べられたと認められるのは、前記1(五)認定にかかる「月刊アームズマガジン」誌等に掲載した告知文の内容及び(九)認定にかかる西日本防犯遊戯銃懇話会における説明のみであって、直接に問屋にファックス送信された甲1の文面では、被告の承認を得ていないカスタムパーツであればすべて承認を要するかのように読める。また、桑田及び友弘は、被告代表者の説明を聞いて、被告エアガン用のカスタムパーツであればすべて形態模倣品であると受け止め、それゆえに友弘はグリップやスプリングまで対象になるのかと聞き、以後すべての原告部品の取扱いを止めたのであり、辻元においても、本号に違反する商品は販売できないと考えたこともあって原告部品の発注をすべて取り止めたというのである。さらに、前記1(八)で認定したように、被告代表者は、原告代表者に対して、そのときの発言の内容だけで見ると、被告エアガンのカスタムパーツについてはすべて承認料を求めるかのような発言をしており、証人桑田及び同大友の両証言に照らすと、他の関係者との間での口頭のやりとりの過程でも、このような表現が用いられたと推認される。

このように見てくると、被告代表者の発言又は説明は、聞き手に対して、被告エアガン用のカスタムパーツは、被告代表者自らが言及した一部の例外(スプリング、ピン、グリップ)を除いて、すべて形態模倣品であるとの認識を抱かせる内容のものであったといわざるを得ない。

この点について被告は、本件告知行為な、単に本法に関する法律的見解を述べたにとどまり、事実を告知したものではないと主張する。しかし、被告代表者は、本件告知行為を行うに当たって、承認シールの貼付や承認料の支払、承認のないカスタムパーツの販売禁止を告知しているのであるから、単に法律的見解を述べたにとどまるものではなく、カスタムパーツが本法の形態模倣規制に反する旨の事実を告知したものというべきである。

また、先に認定した事実によれば、被告代表者は、本件告知行為を行うに当たっては、特に原告部品を名指ししたわけではないことが認められるが、被告代表者は、被告エアガン用のカスタムパーツについて製造業者を問わずに形態模倣性を指摘したのであり、原告が有力なカスタムパーツのメーカーであることは、証人辻元、同桑田及び同友弘の各証言、原告及び被告の各代表者の供述に照らして業界における周知の事柄であったと認められるから、被告代表者の告知は、原告部品についての事実を告知したものというべきである。

3  本法二条一項一一号は、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」を不正競争行為としているが、このような行為によって事業者の営業上の利益が害されるのは、虚偽の事実を第三者が信用してしまうことによる。したがって、告知された内容が虚偽であるか否かは、告知した者の主観的な意図や趣旨ではなく、相手方に伝えられた内容によって客観的に判断すべきであり、また、告知された内容を理解するに当たっては、各文句を形式的に捉えるのではなく、全体の内容を総合的に把握して判断すべきである。

しかるところ、本件では、被告代表者は、一応は被告部品の形態を模倣した被告エアガン用カスタムパーツが本法に違反するとは述べているものの、個別の商品を特定して形態模倣性を指摘したわけではなく、説明の過程ではすべての被告エアガン用カスタムパーツについて承認シールの添付や承認料の支払を求める言動もしており、その発言又は説明は、聞き手に対して、被告エアガン用のカスタムパーツは、被告代表者自らが言及した一部の例外(スプリング、ピン、グリップ)を除いてすべて形態模倣品であるとの認識を抱かせる内容のものであったのであるから、被告代表者が告知した内容を全体として見れば、前記三種の部品以外の被告エアガン用カスタムパーツはすべて本法に違反する形態模倣品であり、被告の承認を要するとの内容であったというべきである。したがって、右三種の部品のほかにも形態模倣品でない原告部品がある場合には、それに関しては、被告代表者の告知行為は、原告の営業上の信用を害する「虚偽の事実」を告知したものとして、同号に該当するものというべきである。

もっとも被告は、本件において遊戯銃問屋が原告部品の扱いを止めたのは、原告の営業姿勢に基づく問屋の自主判断に基づくもので、被告代表者の告知は単なる契機となったにすぎないと主張するが、この主張は、証人辻元、同桑田及び同友弘の各証言に照らして採用できない。

4  なお、原告は、別紙取引先目録記載の取引先に対して、被告代表者が口頭で虚偽事実を告知したと主張するが、被告代表者が口頭でカスタムパーツの形態模倣性について告知した相手としては、大阪共栄通商、大友商会及び桑田商会については先に認定した事実から認められ、セキトーについては甲8により認められ、さらに有限会社フジカンパニー(以下「フジカンパニー」という。)及び株式会社三ツ星商店(以下「三ツ星商店」という。)については、従前取引があったものが平成八年八月から取引が途絶したこと(甲32)から推認することができるが、有限会社広田商事については、これを認めるに足りる的確な証拠はない。

5  以上によれば、被告の告知行為は、セキトー、大阪共栄通商、大友商会、桑田商会、フジカンパニー及び三ツ星商店に対するものについて、原告部品中の形態模倣品でないもの(ただしスプリング、ピン及びグリップを除く。)については、営業誹謗行為であると認められる。

二  争点1(被告が行った本件告知行為は「虚偽の事実」を内容とするものか)の(二)(原告部品の形態は、被告部品の形態を模倣したものか)について

1  被告部品の要保護性について

(一) 本号が、他人の商品形態を模倣した商品の販売行為等を不正競争行為とする趣旨は、先行者の商品形態を模倣する後行者は、先行者が商品開発に要した時間、費用や労力を節約でき、しかも商品開発に伴うビジネスリスクを負うことも回避できる一方で、先行者の市場先行のメリットが著しく損なわれることにより、後行者と先行者との間に競業上著しい不公平が生じるが、このような行為は、他人が資金や労力を投下した成果を盗用するものとして競争上不正な行為であるという点に基づくと解される。

したがって、まず、形態が本号によって保護される「商品」であるためには、当該商品が市場において独立の取引の対象となっているものであることを要するものと解される。

(二) また、本号は、同時に、「当該他人の商品と同種の商品(同種の商品がない場合にあっては、当該他人の商品とその機能及び効用が同一又は類似の商品)が通常有する形態」(以下、「同種の商品が通常有する形態」という。)を保護の対象から除外しているが、その趣旨は、〈1〉同種の商品においてありふれた形態は、その開発に特段の費用や労力の投下及びリスク負担が行われたわけではないのが通常である上に、〈2〉同種の商品が機能及び効用を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態までも特定の者に専用させることは、機能や効用自体を特定の者に専用させることとなり、かえって同種の商品間における発展的な競争を阻害するということに基づくものと解される。

したがって、「同種の商品が通常有する形態」とは、同種の商品においてありふれた形態又は同種の商品の機能及び効用を発揮させるために不可避的に採らざるを得ない形態のことをいうものと解されるが、右趣旨に照らせば、当該商品が全く新たな種類のものであって、同種の商品や、機能及び効用を同じくする商品がそれまで世の中に存在していなかった場合であっても、当該商品の機能及び効用を発揮させるために不可避的に採らざるを得ない形態については、なお、「同種の商品が通常有する形態」として、本号の保護の対象から除外されるものと解される。全く新たな種類の商品を開発した場合には、その商品の形態を開発するに当たって、相応の労力や費用等を投下するのが通常であろうが、そ分ような場合であっても、その形態が当該商品の機能及び効用を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態の場合には、なお「同種の商品が通常有する形態」として本号による保護の対象とすることはできない。

もっとも、ある商品の形態がすべて同種の商品が通常有する形態から構成されることはまれであり、通常は、そのような形態を基礎として、独自的要素を加えて全体の形態が構成されているものである。本号は、全体としての商品の形態を保護するものであって、全体としての形態において、従来から市場で普及していた商品と実質的に同一のものがなければ、そのような全体的形態を有する商品を開発した点において、なお本号の保護の対象となるというべきであるが、右のように、全体の形態が同種の商品が通常有する形態と独自的形態から成る場合に、二つの商品の形態が実質的に同一か否かを判断するに当たっては、独自的要素の部分に重点を置いて判断をすべきものである。

(三) 以上を前提として検討すると、後掲各証拠によれば、次の事実が認められる。

(1) 被告は、本体としての被告エアガンを販売しているが、それとは別に被告エアガン用の部品も販売している(乙1添付のパーツリスト、証人辻元の証言、弁論の全趣旨)。

(2) 遊戯銃の一種であるエアソフトガンは、ガスの圧力によりプラスチック弾を発射するものであるが、需要者である愛好者からは実銃と可能な限り類似した外観や操作性が求められる反面、その発射原理は実銃と全く異なるため、その開発においては、外観は実銃のモデルにできるだけ似せつつ、その内部には精度の高いガス発射機構を組み込まなければならないという制約を受けることとなる(乙13、弁論の全趣旨)。

(3) 被告は、エアソフトガンの発射原理について、マグナブローバックシステムという方式を開発し、これによって初めて、エアソフトガンにおいて実銃と同様の作動を実現することが可能となった。そして、被告は、この方式を実施するための部品構造を設計、開発し、被告エアガンに採用した(乙12、乙13、弁論の全趣旨)。

(4) エアソフトガンの愛好者の間では、その楽しみ方として、その性能、機能や外観を変えたり、改善したりすること(カスタムやチューンアップと呼ばれる。)が行われており、その需要に応えるために、本体としてのエアソフトガンに対応したカスタム用の部品(カスタムパーツ)が、エアガン本体の製造販売メーカーとは異なるメーカーから販売されている(甲20、弁論の全趣旨)。本件で問題となっている原告部品は、被告エアソフトガン用のカスタムパーツである。

右(1)で認定した事実からすると、被告部品は、本体たる被告エアガンとは別個に市場において取引の対象となっているものであるから、本号の「商品」に該当し、その形態は、被告エアガンとは別に保護の対象となるものといえる。

他方、このように被告部品を被告エアガンとは別個の「商品」として把握した場合、右(2)ないし(4)で認定した事実からすると、その「商品」としての機能及び効用は、まさに被告エアガン中に組み込まれてその機構の一部を構成する点あるのであって、エアソフトガンの愛好者は、そのような機能と効用を有する被告部品やカスタムパーツの中から自己が購入する部品を選択するものと認められるから、被告部品の形態が「同種の商品が通常有する形態」であるか否かを検討するに当たっては、各被告部品について、単にエアソフトガンの部品形態としてありふれた形態であるか否かを検討することに加えて、当該部品が被告エアガンの中で果たす機能や効用を発揮する上で不可避的に採らざるを得ない形態か否かを検討することが必要である。

(四) そこで次に、各被告部品の形態が、「同種の商品が通常有する形態」であるか否かを検討する。

(1) 乙13及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

ア 実銃のコルトガバメントは、別紙図面4の各部品から構成されており、その発射原理は、次のとおりである。

(a) 発射準備完了時においては、バレル(銃身、別紙図面4中の1)後端のチェンバー(薬室、別紙図面4中の1の後半部分)部分に弾丸が装填され、ハンマー(別紙図面4中の14)はシアー(別紙図面4中の39)によってコック(後退位置への固定)されている(別紙図面5のA)。

(b) 発射時においては、トリガー(引き金、別紙図面4中の49)を引くことにより、シアー(別紙図面4中の39)が回転して、ハンマー(別紙図面4中の14)のコックが解除され、ばねの力で勢いよく回転して、スライド(別紙図面4中の42)の後端部にあるファイアリングピン(別紙図面4中の9)を介して弾丸後端を打撃する。その結果、撃発が起こり、弾丸が発射される(別紙図面5のB)。

(c) 発射後においては、燃焼ガスの力により、スライドがバレルを伴って後退する。このとき、バレルはやや斜め下に後退するように設計されているため、少し後退するとバレル上部外壁とスライド内壁の凹凸によるロックが解除され、更にスライドは後退を続ける(別紙図面5のC)。スライドの後退に伴って、空薬きょうが排出され、またハンマーは反対回りに回転し、シアーもシアースプリング(別紙図面4中の41)の力によってハンマーに押しつけられる(別紙図面5のD)。後退しきったスライドは、リコイルスプリング(別紙図面4中の35)の力により反転・前進し、同時に次弾が装填される(別紙図面5のE)。スライドの前進が停止するまでに、ハンマーはシアーにより再びコックされ、再発射の準備が完了する。

このようにして、実銃では、弾丸を発射した後にスライドが後退(ブローバック)し、スライドが反転・前進する際に次弾が装填されるという作動が、自動的に連続して行われる点に特徴がある。

イ 他方、被告コルトガバメントは、別紙図面6の部品から構成されており、その発射原理は次のとおりである(なお、被告ベレッタについても原理は同様であると認められる。)。

(a) 発射準備完了時においては、インナーバレル(別紙図面6中の〈1〉、別紙図面1の1)後部にあるローディングノズル(別紙図面6中の〈2〉)部分にプラスチック弾が装填され、ハンマー(別紙図面6中の〈3〉、別紙図面2)はシアー(別紙図面6中の〈4〉)によってコックされている。

(b) 発射時においては、トリガー(別紙図面6中の〈5〉)を引くことにより、シアーが回転して、ハンマーのコックが解除され、ばねの力で勢いよく反対回りに回転して、シャーシ(別紙図面6中の〈6〉)に取り付けられたファイアリングピン(別紙図面6中の〈7〉)を押し込む。ファイアリングピンは、さらにバルブ(別紙図面6の〈8〉)を押し込んでガスの通路が開き、マガジン(別紙図面6の〈9〉)内に充填されていたガスがローディングノズル下方の穴から、ローディングノズル内へ流入する(別紙図面8)。ローディングノズル内へ流入したガスは、フローティングバルブ(別紙図面6の〈10〉)の三枚羽根の周りを通り抜けてプラスチック弾を押し出す(別紙図面9)。

(c) 発射後においては、ガス圧が変化することにより、フローティングバルブは前方に移動し、その円盤部によって前方へのガスの流れが遮断され、ガスはローディングノズル後方に流入する。そのガスの圧力によって、ブリーチ(別紙図面6の〈11〉)及びそれに固定されたスライド(別紙図面6の〈12〉)が後退し始める。このとき、アウターバレル(別紙図面6の〈13〉、別紙図面1の1)及びチェンバーカバー(別紙図面6の〈14〉、別紙図面1の1)は、チェンバーカバー上部外面とスライド内面の浅い凹凸によってロックされているために一緒に後退を始める。このとき、チェンバーカバーは、リンクピン穴に沿って斜め下方向に後退するため、数ミリ後退したところで右ロックが解除され、アウターバレル及びチェンバーカバーは後退を停止し、スライドのみが更に後退を続ける。スライドがある程度後退すると、バルブが閉鎖してマガジンからのガスの流出が止まり、更にスライドが後退し、ブリーチからローディングノズルが抜けるまで後退すると、その抜けた隙間からブリーチ内のガスが排気される(別紙図面10)。スライドは更に後退を続けるが、それに伴ってハンマーは反対回りに回転し、シアーで固定される。後退しきったスライドは、リコイルスプリング(別紙図面6中の〈15〉)の力により反転・前進し、同時に次弾が装填され、再発射の準備が完了する(別紙図面11)。

このように、被告エアガンでは、実銃と同じく、弾丸を発射した後にスライドが後退し、スライドが反転・前進する際に次弾が装填されるという作動が、自動的に連続して行われる点に特徴があり(これがマグナブローバックシステムと呼ばれる。)、このシステムを、フローティングバルブを中心とするガス圧の切り替えによって実現した点にその技術的特徴がある。

(2) 被告アウターバレルと被告チェンバーカバーについて

ア 実銃のバレル部は、銃口からチェンバーに至る単一の部品として形成されているが、被告部品では、バレル部を、プラスチック弾を通過させるインナーバレル部と、その外側にあってプラスチック弾発射に伴って後退運動をするアウターバレル部とに分けている。そして、アウターバレル部を筒状のアウターバレルと後方のチェンバーカバーに分けている(別紙図面1の1)。

ところで、甲21ないし24、検甲6及び12、乙14、16によれば、エアソフトガンにおいて、バレル部をインナーバレル部とアウターバレル部に分けて形成することについては、被告エアガンの発売前にJAC製ブローニングハイパワー及びマルシン製のコルトガバメントMKⅣにおいて既に採用されていたところであり、さらにアウターバレル部をアウターバレルとチェシバーカバーに分けて形成することについては、マルシン製のコルトガバメントMKⅣにおいて採用されていたものと認められるから、このような部品構成とした点は、エアソフトガンにおいて通常有する形態であるというべきである。

この点について被告は、このように部品構成は同じでも、被告エアガンにおいては、プラスチック弾発射時に、インナーバレル部は固定されたままアウターバレル部のみが後退する点に特徴があると主張するが、それは技術的な特徴であるとはいえても、形態上の特徴であるとはいえない。

イ 検乙2によれば、被告アウターバレルの形態は、別紙写真1、別紙図面1の1ないし3のとおりであるが、これを具体的に表現すると、別表〈13〉中の「被告アウターバレル」欄のとおりである。

ところで、前記認定の事実によれば、アウターバレルの機能及び効用は、バレル部の外側部分を構成して内部にインナーバレル部を通し、後端部においてチェンバーカバーと結合する点にあるから、その基本的形態が円筒形で、チェンバーカバーとの接合部内径に雌ネジが切られていることは、その機能及び効用を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態であると認められ、また、その量的形状も、実銃の再現という観点からすると一定の制約下にあることから、特段の形態的特徴と見ることはできない。したがって、被告アウターバレルの形態は、基本的に同種の商品が通常有する形態に該当するというべきであるが、切欠き、銃口部の段差、銃口部内径の突起、全体の模様及び色といった細部の点において、なお被告アウターバレル独自の形態的特徴を見出すこともできるから、被告アウターバレルの形態が全体として同種の商品が通常有する形態であるとまではいえない。

なお、原告は、被告アウターバレルが切欠きを有していることも、既に発売されていた東京マルイ製コルトXM177E2で採られている形態であり、同種の商品が通常有する形態であると主張するが、甲25によれば、同製品はかなり大型のマシンガンであり、小型の自動拳銃であるコルトガバメントのエアガン用の部品と直ちに比較の対象とすることはできない。また、甲26によるも、同製品のアウターバレルには被告アウターバレルと同様の切欠きが存するか否か判然としないのであり、原告の右主張は採用できない。

ウ 検乙3によれば、被告チェンバーカバーの形態は、別紙写真2、別紙図面1の1ないし3のとおりであるが、これを具体的に表現すると、別表〈14〉中の「被告チェンバーカバー」欄のとおりである。

ところで、甲16及び別紙図面4によれば、被告チェンバーカバーの基本的形態は、実銃のバレル後方のチェンバー部の形状とほぼ同様のものであると認められる。しかし、甲21ないし24、検甲6及び12、乙14ないし16によれば、エアガンにおけるチェンバー部の部品形状は、各エアガンにおける発射機構との兼ね合いによって、必ずしも実銃のチェンバー部と同一の形態となっていないことが認められるのであって、被告チェンバーカバーの形態が実銃のチェンバー部と同様であることから直ちに同種の商品が通常有する形態であるということはできない。

次に、前記(1)認定の事実によれば、被告エアガンにおけるチェンバーカバーの機能及び効用は、アウターバレルと接合してアウターバレル部を形成すること、内部にインナーバレル部を挿通すること、スライド部とロックされていること、弾丸発射後の後退時に後方やや下に後退し、数ミリ程度後退したところでスライドとのロックが解除されることにあるということができる。このような機能及び効用からすれば、被告チェンバーカバーは、円筒状の形状を有していること、アウターバレルとの接合部では雄ネジ溝が切られていること、本体上部外面にはスライド部とロックするための浅い凸状部が設けられていること、本体後部下方には一対の脚部が取り付けられ、その間にインナーバレル部の基部を入り込ませるとともに、脚部にはアウターバレル部をリンク穴に沿って後方やや下に後退させるためのリンクピン挿通穴が設けられることの諸点においては、その機能及び効用を発揮させるために不可避的に採らざるを得ない形態であるというべきである。そして、これに前記実銃のチェンバー部の形状を併せ考えると、被告チェンバーカバーの形態は、基本的に同種の商品が通常有する形態から構成されていると解するのが相当である。

この点について被告は、被告チェンバーカバーの形態は、被告がマグナブローバックシステムを実施するに当たって新規に考案した形態である旨主張するが、本号は技術そのものを保護する趣旨ではないから、被告部品の形態が、被告エアガンにおいてマグナブローバックシステムを正常に作動させる機能を果たすために不可避的に採らざるを得ない形態である限り、本号の保護は及ばないものといわざるを得ない。

もっとも、被告チェンバーカバーの形態には、模様や色において独自性を有する部分もあるから、全体として同種の商品が通常有する形態であるとまではいえない。

(3) 被告ハンマーについて

検乙4によれば、被告ハンマーの形態は、別紙写真3、別紙図面2のとおりであるが、これを具体的に表現すると、別表〈15〉中の「被告ハンマー」欄のとおりである。。

甲16、甲21、甲22、乙16及び別紙図面4によれば、被告ハンマーの基本的形態と実銃のハンマーの基本的形態とはほぼ同一であり、このような形態は、被告エアガンの発売以前からも、JAC製ブローニングハイパワー及びマルシン製のコルトガバメントMKⅣのハンマーにも採用されてきたところであり、同種の商品が通常有する形態であるといえる。

これに対して、被告ハンマーの形状のうち、リバウンドロックノッチが設けられている点及びフルコックノッチの幅がハンマー幅の半分である点は、実銃のハンマーにも従来のエアガンのハンマーにも見られない点である。ところで、前記(1)で認定した事実によれば、被告エアガンにおけるハンマーの機能は、発射準備完了時においてはシアーによってコックされ、発射時においてはコックが解除されてファイアリングピンを打撃する点にあるところ、乙13によれば、フルコックノッチの幅がハンマー幅の半分である理由は、被告エアガンのシアーは、ディスコネクターと並列して配置してあるために、その幅が実銃と異なり半分しかないことに対応したものであることが認められる。したがって、フルコックノッチの幅の点については、被告エアガンにおいてハンマーがディスコネクターと抵触せずにシアーによってコックされるという機能及び効用を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態であるというべきである。

また、乙13によれば、リバウンドロックノッチが設けられている理由は、被告エアガンを使用しないときにハンマーが誤ってファイアリングピンを押すことがないように、両者が接触する直前の位置でハンマーを固定しておく点にあるものと認められる。この点は、マグナブローバックシステムに関わるものではないが、非使用時に誤ってファイアリングピンを押さないようにするという技術的目的を達成するための手段は、選択の幅が極めて限られていると考えられるから、ハンマーにリバウンドロックノッチを設けるという形態は、なお同種の商品が通常有する形態であると考えられる。

したがって、被告ハンマーの形態は、基本的に同種の商品が通常有する形態であるといえるが、被告ハンマーの形態には、模様や色において独自性を有する部分もあるから、全体として同種の商品が通常有する形態であるとまではいえない。

(4) 被告フローティングバルブについて

検乙5によれば、被告フローティングバルブの形態は、別紙写真4、別紙図面3のとおりであるが、これを具体的に表現すると、別表〈16〉中の「被告フローティングバルブ」欄のとおりである。

ところで、前記(1)で認定した事実によれば、被告エアガンにおける被告フローティングバルブの機能及び効用は、弾丸発射時においては、マガジンからローディングノズルへと流出してきたガスが、その円盤状部分によってローディングノズル後方へ流れるのを塞ぐとともに、その三枚羽根部分がローディングノズル前方へのガス通路となること、弾丸発射後においては、ガス圧の変化により位置が前方へ移動し、その円盤状部分によってローディングノズル前方へのガスの流れを塞ぐとともに、その円筒状部分がローディングノズル後方へのガス通路となること、というものであると認められる。このようなフローティングバルブの機能及び効用からすると、中央に円盤状のバルブ(弁)部を有すること、その両側にガスの流路となり得る空間を空けた部材を有すること、その量的形状に被告エアガンの寸法上の制約を受けることは、フローティングバルブの機能及び効用を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態であるというべきである。

被告は、フローティングバルブがブローバックシステムを実現するために考案された全く新たな部品であることを理由に、その形態すべてに独自性があると主張するが、全く新たな商品であっても、その機能及び効能を発揮するために不可避的に採らざるを得ない形態については、同法の保護が及ばないと解すべきことは前記のとおりである。

もっとも、被告フローティングバルブの形態は、右の限度で同種の商品が通常有する形態であるといえるが、バルブ部分の細かな形態やバルブの両側の部材の形状、模様や色において独自性を有する部分もあるから、全体として同種の商品が通常有する形態であるとまではいえない。

他方、原告は、被告エアガンにおけるガス流路切り替えの方式は、いわゆるポペット方式と呼ばれる周知技術にすぎず、被告フローティングバルブは右ポペット方式における切り替えバルブにすぎないこと、また、そのような切り替えバルブは原告が既に発売していたコルトM16ニューエアスイッチにも備わっていることから、被告フローティングバルブの形態は同種の商品が通常有する形態にすぎないと主張する。しかし、原告指摘のポペット方式(甲18)は、空気の流路を切り替える技術として周知技術であるとしても、そのためのバルブの形態が、先に認定した同種の商品が通常有する形態の部分を超えて、被告フローティングバルブのような具体的形態に限られるわけではなく、また、原告が指摘するコルトM16ニューエアスイッチにおける切り替えバルブ(検甲7)の形状も、被告フローティングバルブの形状とは異なる。したがって、原告の右主張は採用できない。

2  被告部品の形態と原告部品の形態との実質的同一性について

(一) 本号にいう「模倣」とは、既に存在する他人の商品をまねてこれと同一又は実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいうと解される。そして、形態が実質的に同一か否かの判断に当たっては、先行商品と模倣と主張される商品とを並べて、それぞれの形状、模様、色彩等の形態を対比して観察し、総合的に判断すべきものである。その場合、仮に後行商品において、先行商品の形態を改変した部分があるとしても、その改変の程度がわずかであるにとどまる場合には、なお両者の形態は実質的に同一であるいうべきである。

この点について、原告は、右実質的同一性の判断に当たっては、専ら需要者の視点から判断されるべきであり、エアソフトガンのカスタムパーツというものは、純正部品と異なる外観の物を持ちたいという愛好家の需要に応えるもので、愛好家から見て純正部品とは形態が異なる点にその存在価値があり、だからこそ純正部品に比べて相当に高額であるにもかかわらず市場において売れるのであると主張する。しかし、本号の趣旨は、商品間の誤認混同を惹起することを防止する点にあるのではなく、先行者が特定の商品形態を開発するに当たって負担した費用や労力やリスクへの後行者のただ乗りを許さず、先行者の費用等の負担を保護する点にあることからすれば、単に需要者の観点のみから実質的同一性を判断するのは相当ではなく、改変の内容、程度、商品全体に占める効果、容易性等を総合的に考慮して、保護されるべき先行商品の形態に酷似しているか否かを判断するのが相当である。そしてこの理は、商品がエアソフトガンの部品である場合にも変わりはないところである。

他方、被告は、商品がエアソフトガンの部品である場合には、形態のうちの形状の要素を重視すべきであると主張する。しかし、本号にいう「形態」には、単に形状にとどまらず、模様、色彩、質量感等が含まれると解されるところ、エアソフトガンの部品の場合に、特に他の商品とは異なって、これら形状以外の要素に開発の努力が注がれないことを示す証拠もないから、被告の右主張は採用できない。

そこで、以下、個別の部品について、実質的同一性の有無を検討する。

(二) アウターバレルについて

原告アウターバレルの形態は、検甲2及び3によれば、別紙写真5ないし8、別表〈13〉中の「原告アウターバレル」欄のとおりであると認められる。

ところで、前記1(四)(2)イで認定したところによれば、被告アウターバレルの形態のうち、形態の実質的同一性を判断する上で重視されるべき部分は、切欠き部、銃口部の段差、銃口部内径の突起、全体の模様及び色といった細部の諸点である。これらの点を原告アウターバレルと比較すると、切欠き部以外の点は形態が異なっており、また、それ以外にも量的形状において異なっているが、弁論の全趣旨によれば、これらのうち銃口部内径の突起物をなくしたのは、発射時の乱流発生を防止して命中精度を高めるためであり、また、全長を21ミリメートル延長した理由は、発射時の整流効果を高めて命中精度を高めるとともに、消音器の装着を可能とするためであると認められる。

これらよりすれば、原告アウターバレルの形態は、被告アウターバレルの形態と重要な部分において異なっているから、両者は実質的に同一であるといえない。

この点について被告は、原告アウターバレルの改変部分はいずれも些細な相違にすぎないと主張するが、被告アウターバレルの形態自体が基本的に同種の商品が通常有する形態から構成され、その保護されるべき形態部分は前記のような細部の点にとどまる以上、右のような相違があれば、実質的に同一の形態であるとはいえない。

(三) チェンバーカバーについて

原告チェンバーカバーの形態は、検甲3によれば、別紙写真6ないし8、別表〈14〉中の「原告チェンバーカバー」欄のとおりであると認められる。

ところで、前記1(四)(2)ウで認定したところによれば、被告チェンバーカバーの形態のうち、実質的同一性を判断するに当たって重視されるべき部分は、模様や色の部分である。そして、これらの点を原告チェンバーカバーと比較すると、模様においても色においても大きく異なっており、さらに形状については、原告チェンバーカバーには、本体部分側面に楕円形の穴が設けられているという相違がある。

これらの相違点からすれば、原告チェンバーカバーの形態は、被告チェンバーカバーの形態と重要な部分において異なっており、、両者が実質的に同一であるとはいえない。

この点について被告は、これらの相違点は些細な相違にすぎず、また、本体部分側面に穴を設けた点は、原告アウターバレル及び原告チェンバーカバーがいずれも日本遊戯銃協同組合の自主規制に反する金属製の材料を使用していることから、安全対策上のために設けたにすぎないと主張する。しかし、前者の点については、先にアウターバレルについて述べたところと同様であり、また、後者の点については、右自主規制に反するからといって、直ちに右改変部分の形態的効果を本法違反か否かの考慮の対象から除外されなければならないわけではない。

(四) ハンマーについて

原告ハンマーの形態は、検甲4によれば、別紙写真9ないし11、別表〈15〉中の「原告ハンマー」欄のとおりであると認められる。

ところで、前記1(四)(3)で認定したところによれば、被告ハンマーの形態のうち、形態の実質的同一性を判断するに当たって重視されるべき部分は、模様や色の部分である。そして、これらの点を原告ハンマーと比較すると、双方の点において異なっており、また、このような相違は主として材質の相違を反映したものである。さらに、原告ハンマーのうち、商品名「WA-GMスパーWハンマー」においては、打撃部に二つの穴が貫通している点でも被告ハンマーと相違している。

これらよりすれば、原告ハンマーの形態は、被告ハンマーの形態と重要な点において異なっており、両者は実質的に同一であるとはいえない。

(五) フローティングバルブについて

原告フローティングバルブの形態は、検甲5によれば、別紙写真12、別表〈16〉中の「原告フローティングバルブ」欄のとおりであると認められる。

ところで、前記1(一)(4)で認定したところによれば、被告フローティングバルブの形態のうち、本号によって保護されるべき部分は、バルブ部分の細かな形態やバルブの両側の部材の形状、模様や色の部分である。

これらの点について、原告フローティングバルブと被告フローティングバルブとを比較して検討する。

まず、バルブ部分の具体的形態において、被告フローティングバルブは、直径が七・三ミリメートルで、断面長方形の三段型パッキンを使用しているのに対し、原告フローティングバルブは、直径六・五ミリメートルとやや小さく、断面は短辺に円みを帯びた長方形で、段差のないオーリングを使用している。先に認定したフローティングバルブの機能からすると、バルブ部分の形状は、ガスの流れを規制するための重要なポイントであって、形態上の要部であるというべきであるから、バルブ部分の具体的形態についての右のような相違は軽視することはできない。

次に、バルブ部分前方の三枚羽根部分の形状を見ると、被告フローティングバルブにおいては、断面は逆Y字形をしており、三枚羽根部分が一四・八ミリメートルと長く、基部の丸棒状部分が短いのに対し、原告フローティングバルブにおいては、断面は各辺の窪んだ三角形状をしており、三枚羽根部分が七・〇ミリメートルと短く、基部の丸棒状部分が長い。先に認定したフローティングバルブの機能からすると、三枚羽根部分の形状は、マガジンから流出したガスが適確にプラスチック弾を押し出すための重要なポイントであって、これも形態上の要部であるというべきである。確かにこの部分の形状を三枚羽根状とすることは、フローティングバルブとしての機能及び効用を発揮するために採らざるを得ない形態であるとはいえず、その点において被告の独自的形態であるとはいえるが、三枚羽根部分の長さが両者ほど異なれば、外観上の印象はかなり異なるものといえ、また、この部分がプラスチック弾を発射するためのガスの流路となることを考えると、ガスの流れ具合にも差が生じ得ると考えられるところであり、この部分の右のような相違は軽視することができない。

また、被告フローティングバルブと原告フローティングバルブは、材質及び色彩においても大きく異なっている。

さらに、原告フローティングバルブをめぐる関係者の動向を見ると、まず、原告は、平成六年一〇月一〇日の時点で、他の部品とは異なり、「耐久性向上、流体制御」を理由に、被告に対して、形態承認契約の締結に異議を述べている(乙9)。また、被告においても、ホビーフィックス等に対する訴訟等を提起した平成七年七月以降も、被告渋谷店においては、他のカスタムパーツは取扱いを停止しながら、原告フローティングバルブのみは取り扱い続けたことが認められる(乙25)。さらに、被告フローティングバルブの価格が三〇〇円であるのに対して、原告フローティングバルブの価格は二八〇〇円であり、他の部品と比べても価格差が大きくなっている(弁論の全趣旨)。

これらの点を考慮すると、被告フローティングバルブと原告フローティングバルブとが、実質的に同一の形態であるとは認められない。

(六) その他の原告部品について

その他、原告が別表〈10〉ないし〈12〉で指摘する原告部品(ベレッタ用照準器、リコイルスプリングガイド及びナショナルトリガー)については、被告代表者本人の供述によれば、いずれも対応する被告部品の形態とは実質的同一でないと認められる。しかし、原告が別表〈9〉で指摘するインナーバレルについては、これを認めるに足りる証拠はない。

さらに、被告代表者本人の供述によれば、原告部品(甲32の1)のうち、92FS用オウルアイ、WAGM&MI用オウルアイ、WAGM用ワイドトリガー、WAGM用NMトリガー、45AUTOロングリコイルSPガイド、WAコマンダー用ロングリコイルスプリングガイド、WAGMLRB、WAデザートイーグルLRB6800、WA92FSLRB、WA92FSセンチュリオンLRB、WAミリタリーLRBも、被告部品の形態模倣品ではないと認められる。なお、被告代表者本人の供述からすれば、原告部品のうちのWAGM用ハンマースプリング、WAGMリコイルスプリングも被告部品を模倣したものではないと認められるが、前記一3で認定した事実によれば、被告代表者は、本件告知行為を行うに当たって、グリップ、ピン及びスプリングは明示的に形態模倣品から除いているのであるから、これらの三種類に含まれる右二部品については、形態模倣品でないと認められても、なお被告による営業誹謗行為の範囲からは除かれるものである。

3  以上によれば、原告部品のうち、アウターバレル、チェンバーカバー、ハンマー、フローティングバルブのほか、右2(六)で認定した部品については、被告部品の形態を模倣したものではないと認められる。

三  争点2(被告は原告部品の販売を承諾していたか。また、被告の本件告知行為は禁反言の原則に反するか。)について

1  後掲各証拠によれば、次の事実が認められる。

(一) 被告は、遊戯銃の製造と問屋への卸販売を主たる営業形態としているが、通信販売による販売のほか、唯一の直営店である渋谷店での直接販売も行っている(乙26)。

(二) 被告渋谷店は、被告の販売部長である松尾圭祐が責任者となっているところ、遅くとも平成六年一二月ころから、原告部品等のカスタムパーツを訴外三ツ星商店から仕入れて、渋谷店で販売していたが、平成八年七月一六日以降は仕入れを中止し、在庫品の販売も同年一一月で中止した(乙25)。

(三) 平成八年八月七日、被告代表者は、訴外株式会社アングス精器販売の代表者である佐藤正彦に対し、同社取扱いのカスタムパーツの承認に関する会話の中で、「うちの渋谷店にもあんたとこの商品はある。」と話し、同日の時点では、被告代表者は、被告渋谷店において、被告エアガン用カスタムパーツが販売されているのを知っていた(甲30、弁論の全趣旨)。

2  原告の主張は、右認定の事実をもって、被告代表者が原告部品の市場での流通を承認していたとする趣旨であると解される。

しかし、前記一1で認定した各事実によれば、被告は、本法の施行直後の平成六年六月から、遊戯銃の業界に対し、形態模倣部品に対する注意を呼びかけ、同年一〇月には原告自身にも形態使用承認契約の締結を交渉し、平成七年七月には、株式会社むげん外に対して一定のカスタムパーツの製造販売等の差止めを求める訴訟の提起及び仮処分の申立てをしていたことが認められ、また、弁論の全趣旨によれば、右事件は遊戯銃業界では広く知られた事件であったと認められる。

このような事実に照らすと、被告代表者が、形態模倣性があると考えるカスタムパーツを自社の渋谷店で取り扱うことを承認していたとは考えられず、その取扱いを知ったのは平成八年七月であり、その直後に取扱いの中止を指示した旨の乙26の記載及び被告代表者本人の供述は信用できるものというべきである(前記(一)(3)で認定した事実は、右の事実と矛盾しない。)。

また、右の事実に照らすと、被告のカスタムパーツに対する姿勢は遊戯銃業界に広く知られた事柄であったと認められ、また、被告代表者が原告に対して直接に原告部品の販売を承認するかのような言動をとったことは証拠上全くうかがわれないから、原告において、被告が原告部品の販売を承認していたと信頼をする状況にはなかったものというべきである。

3  したがって、被告が原告部品の販売を承認していた旨及び被告による本件告知行為が信義則に反する旨の原告の主張は理由がない。

4  以上により、被告の本件告知行為は、原告部品のうち、アウターバレル、チェンバーカバー、ハンマー、フローティングバルブ、照準器、リコイルスプリングガイド、ナショナルトリガー及び前記二2(六)で認定した部品に関する限り、本法二条一項一一号に該当する営業誹謗行為であったと認められる。他方、その余の原告部品については、被告代表者による本件告知行為の内容が同号の「虚偽の事実」に該当することを認めるに足りる証拠はない。

四  争点3(被告の本件告知行為が不正競争行為に該当する場合、当該行為の差止めを認める必要性があるか)について

弁論の全趣旨によれば、被告ベレッタについては平成八年一二月、被告コルトガバメントについては平成九年九月二一日をもって本号に定める形態保護期間が経過したことが認められ、また、被告が本件告知行為以後、同様の行為を原告の取引先に対して行ったことを認めるに足りる証拠はない。

このような状況の下では、被告が将来再び、右形態模倣でない原告部品について本件告知行為を行うおそれを認めるに足りる状況にはないといわざるを得ない。原告は、取引に対する本件告知行為の影響が継続している点を指摘するが、本件差止請求は、将来における営業誹謗行為の差止めを求めるものであって、過去の行為の影響が存続していることによっては、その必要性を認めることはできないものというべきである。

したがって、請求の趣旨第一項の請求は理由がない。

五  争点4(被告の本件告知行為が不正競争行為に該当する場合、被告が原告に賠償すべき損害の額及び謝罪広告の要否)について

1  まず、被告が本件の営業誹謗行為を行うに当たって故意又は過失があったと認められるかについて検討するに、先に認定した事実によれば、被告は、本件告知行為を行うに当たって、形態模倣品として承認の対象とするカスタムパーツを特定せず、またその意図及び趣旨を明確に伝えず、聞き手に対して、被告エアガン用のすべてのカスタムパーツが形態模倣品であるとの認識を生じさせたものであるから、被告には、少なくとも過失があったというべきである。

2  被告の本件告知行為と取引途絶との因果関係について

(一) 甲32、証人辻元、同桑田及び同大友の各証言、原告代表者の供述並びに弁論の全趣旨によれば、フジカンパニー、桑田商会、三ツ星商店、大阪共栄通商、セキトー及び大友商会は、いずれも遊戯銃問屋であるが、本件告知行為を契機として、平成八年八月以降、原告部品の取扱いを一切停止し、現在に至るまでそれが継続していることが認められる。これに前記一1(七)及び(九)での認定事実並びに前記認定の本件告知行為の内容を併せ考えれば、右取引途絶は、被告による本件告知行為に基づくものであったというべきである。

被告は、右問屋による取引停止は各問屋の自主判断に基づくものであって、被告の本件告知行為との間には因果関係がないと主張するが、形態模倣とは認められない原告部品までをも取引停止するような判断を問屋に生じさせたのは、本件告知行為によるものであると認められるから、被告の右主張は理由がない。

(二) 他方、乙20によれば、東京地方裁判所は、平成九年八月一九日に被告の申立てにより、原告に対し、原告チェンバーカバー、原告ハンマー及び原告フローティングバルブ(各商品名は、別表〈17〉中の「仮処分対象品」に関する注4を参照)について、平成九年九月二一日まで、その製造・販売等を差し止める仮処分決定をしたことが認められる。したがって、この期間中の右原告部品(原告は、WAGMチェンバー(単体)7000も右仮処分決定の対象品であるとするが、乙20によれば、単体の商品としての原告チェンバーカバーは右仮処分決定の対象品となっていないと認められるから、右部品は除外する。)の販売が停止したことによる損害は、もっぱら右仮処分決定に基づくものであって、本件告知行為とは因果関係がないものと認めるのが相当である。

もっとも、右仮処分決定は、本件告知行為によって原告部品の取引が途絶してから一年以上を経過した時点のものであること、右仮処分によって原告部品の販売等が差し止められた期間は約一か月にすぎないことを考えると、右仮処分決定によって認められた販売等の差止めの期限が経過した後の取引途絶に関する損害については、なお、本件告知行為との間に因果関係があるものと認めるのが相当である。

(三) さらに、前記のとおり、被告部品の形態保護期間は、被告ベレッタについては平成八年一二月、被告コルトガバメントについては平成九年九月二一日をもって終了したことが認められるところ、被告は、右時日以降は原告部品を販売するに当たって、本法による障害がなくなったのであるから、右時日以降の原告部品の取引停止による損害ついては、被告の本件告知行為との間に因果関係がないと主張する。

しかし、事業者が、自己の取扱商品について形態模倣品である旨の告知を受けた場合に、その取扱いを停止するのは、それが本法違反の商品であり、それを販売することによって自己又は取引先の法律上の責任が追及される可能性をおそれるということだけではなく、本法によって規制の対象とされるような商品は取り扱わないという健全な商道徳に基づく側面も大きいというべきであり、このような趣旨は、証人辻元及び同大友の各証言によってもうかがわれるところである。

したがって、被告部品の形態保護期間の経過後であっても、取引先が取引再開に応じない以上、被告による本件告知行為の効果が残存しているというべきであり、それによる損害は、なお本件告知行為との間に因果関係があるものというべきである。被告の右主張は採用できない。

2  原告の被った損害額について

(一) 原告は、本件告知行為によって、取引先との取引の機会を失ったのであるから、前記二3において形態模倣品ではないと認められた原告部品(以下「非模倣部品」という。)についての、取引途絶による逸失利益が財産上の損害の賠償として認められるべきものである。

(二) 甲32の1(販売伝票集計)によれば、平成七年八月から平成八年七月までの期間における、非模倣部品の売上推移を整理すると、別表〈17〉のとおり認められる。これによれば、同期間における非模倣品の売上げは、合計八七二万九三二四円であったことが認められる。原告は、甲32の1における「返品」分も売上げとして計上すべきと主張するが、甲32の1の期間内に計上されている返品は、いずれかの時点で売上げ計上されたものが返品されているのであるから、それを同期間内の売上げに加算すると、同期間外の売上げを計上するか又は同期間内の売上げを二重に計上することになることになり、相当でない(別表〈17〉の注3参照)。また、甲32の1は、平成七年六月又は七月中の売上げも計上されているが、得べかりし売上額の計算は、取引が途絶した平成八年八月の直近一年間の取引の推移を検討して行うのが合理的であり、原告の主張にも沿うものであるから、右期間中の売上げは別表〈17〉の整理に当たって参考としないのが相当である(別表〈17〉の注2参照)。

ところで、原告は、このような売上げがそのまま平成八年九月以降も継続することを前提にして、損害額を計算している。しかし、別表〈17〉中の「合計」欄の月別推移を見ると、平成七年八月から平成八年二月までに売上げが大きく減少した後、若干の上下をある程度の幅で上下しているのであって、必ずしも原告主張のように前提することはできない。そこで、このような売上額の推移をより平均化して検討するために、同表中の「直近半年間の月間平均」の推移(別表〈17〉の注6参照)を見ると、各項目とも、急速な減少を示した後に若干の上下を経て、ある程度の範囲に落ち着いていることが見て取れるのであって、このような傾向からすれば、平成八年二月から七月までの最後の半年間の月間平均売上額(別表〈17〉中の「直近半年間の月間平均」表の平成八年七月記載欄の売上額)である一八万八九〇〇円をもって、逸失利益算定の基礎とするのが相当である。

そして、本件告知行為がなければ、原告部品がどれだけの売上げを得たかを厳密に証明することは困難であるが、それまで相応の取引実績を継続してきた相手との取引が、被告の本件告知行為を境に全く途絶した本件においては、他に特段の事情のない限り、被告の本件告知行為が存しなければ、それまでの取引経過から合理的に推認し得る前記取引量が、その後も継続し得たものと推認するのが相当である。

(三) そこで、原告の得べかりし売上額を検討するに、前記のとおり、非模倣品全体の得べかりし月間売上高は、一八万八九〇〇円であると認められる。そして、原告が本件において損害賠償の対象として請求しているのは、平成八年八月から平成一〇年三月までの二〇か月間であるから、この間の非模倣品全体の得べかりし売上高は、三七七万八〇〇〇円から、前記仮処分決定によって仮処分対象品が販売できなかった一か月分の売上高(別表〈17〉によると一五万四二一七円であると認められる。)を控除した三六二万三七八三円であると認められる(188,900×20-154,217=3,623,783)

(四) ところで、原告は、その逸失利益を算定するに当たって、売上高から売上原価のみを控除している。確かに、逸失利益は、原告が得られたであろう売上額から、それを得るために要したであろう費用を控除することによって得られるものであり、原告の経営の状況によっては、追加的な売上げを得るに当たって、人件費等の販売費及び一般管理費(以下「販管費」という。)は追加的に必要とならず、売上原価のみが追加的に必要となる事態も考えられる。しかし、通常は、追加的な売上げを得るに当たっては、売上原価のみならず相応の販管費をも追加的に要するものであるから、特段の主張立証のない限り、逸失利益の算定に当たっては、得べかりし売上額から、それに対応する売上原価と販管費を控除するのが相当である。

しかるところ、甲34は原告の第七期(平成六年一〇月一日から平成七年九月三〇日まで)の決算報告書であるが、それによると、売上高(七八四九万六四二一円)に対する売上原価(二九四二万五六八四円)の割合は、三七・五パーセントであり、また、販管費(三八〇一万四七六二円)の割合は、四八・四パーセントであることが認められる。原告部品の売上げのうち、厳密に非模倣部品に対応する売上原価並びに販管費の割合を示す資料は存しないから、右の割合が非模倣部品についても妥当するものと推認するのが相当である。したがって、原告の逸失利益を算定するに当たっては、得べかりし売上高から、その八五・九パーセント(三七・五%+四八・四%)を費用として控除するのが相当である。そして、このように解することは、甲29(弁論の全趣旨によれば、前記仮処分に対する本案事件において原告が原告部品の売上額と利益率を立証するための証拠として提出した伝票集計表であると認められる。)とも適合するものである。

もっとも原告の第八期(平成七年一〇月一日から平成八年九月三〇日まで)の決算報告書(甲41)によれば、同期において原告は営業損失を計上していることが認められるが、右期間には本件告知行為によって問屋との取引が途絶した時期が含まれており、費用率の算定に当たって参考とすることはできない。

(五) 以上によれば、原告の得べかりし利益は、五一万九五三円と認められる(3,623,783,×[1-0.859]=510,953)。

(六) また、原告の本件請求は、取引途絶に伴う直接的な逸失利益の賠償だけではなく、その信用が毀損されたことによる無形の損害の賠償をも求める趣旨と解されるところ、本件に現れた全事情を総合考慮するならば、そのような原告の無形の損害としては、一〇〇万円と認めるのが相当である。

(七) 以上によれば、本件において原告が被告に対して請求し得る損害賠償の額は、一五一万九五三円と認められる。

2  謝罪広告について

なお、本件において原告は、謝罪広告も請求しているが、前記のとおり、その他の原告部品において形態模倣品でないことが明らかにされないものが相当数あること、本件では被告部品の形態保護期間はいずれも経過していること、原告の無形の損害の賠償も認められることからすると、本件においては、謝罪広告を認めるまでの必要性及び相当性は認められない。

したがって、謝罪広告を求める原告の請求は理由がない。

六  以上によれば、原告の請求は、一五一万九五三円及びこれに対する平成八年九月五日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるが、その余の請求は理由がない。

よって、主文のとおり判決する。

(平成一〇年九月一日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 小松一雄 裁判官 高松宏之 裁判官 小出啓子)

(別紙) 取引先目録

一 株式会社セキトー

〒五四六 大阪市東住吉区今川四-二五-一八

二 有限会社大阪共栄通商

〒五九一 大阪府堺市百舌鳥綾南町三-二〇五-三

三 有限会社大友商会

〒一三一 東京都墨田区本所四-三-八

四 有限会社桑田商会

〒一一一 東京都台東区蔵前二-五-四 北篠ビル一階

五 有限会社フジカンパニー

〒一三一 東京都墨田区向日島三-三八-八

六 有限会社広田商事

〒一一一 東京都台東区蔵前二-二-四

七 株式会社三ツ星商店

〒四五一 愛知県名古屋市西区新道二-五-一八

(別紙) 雑誌目録

一 雑誌名 GUN(ガン)

発行者 国際出版株式会社

住所 東京都中野区中野五-三-二五

二 雑誌名 コンバットマガジン

発行者 株式会社ワールドフォトプレス

住所 東京都中野区中野三-三九-二

三 雑誌名 月刊アームズ・マガジン

発行者 株式会社ホビージャパン

住所 東京都渋谷区千駄ヶ谷五-二六-五

(別紙) 広告目録

「陳謝

弊社は、平成八年七月から八月にかけて、貴社の取引先である問屋及びその問屋の取引先である小売店に対し、貴社の製造販売する弊社用カスタムパーツ全てが、弊社の製造販売するパーツの模倣であるとして、その製造中止、返品、金員支払い等を請求しましたが、これら請求は弊社の全く誤った判断によるものであって、貴社の右カスタムパーツ全ては、当社のパーツを模倣したものではありません。弊社はここに、右請求を全て撤回するとともに、貴社の名誉・信用を著しく害し、かつ、貴社・問屋・小売店各位に多大の迷惑をおかけしましたことを謹んで陳謝いたしましす。以後、このようなことは一切いたしません。

右のとおり、陳謝・誓約し、後日の為この旨広告いたします。

平成 年 月 日

東京都渋谷区神宮前二丁目一六番一六号

株式会社ウエスタン・アームス

代表取締役 国本圭一

大阪市浪速区恵比須西二丁目一四番一号

株式会社シェリフ

代表取締役 大西正道殿」

(別表〈1〉)

原告部品 被告部品

商品名 45AUTOアウターバレル アウターバレル

質的形状 〈1〉銃口部に段差はなく、単純な円筒形状をしている。 〈2〉銃口部内径には突起物はない。 〈1〉銃口部に段差があり、二段型円筒形状をしている。 〈2〉銃口部内径に突起物がある。

量的形状 〈1〉全長97mm(全長が21mmも長い) 〈2〉直14.8mm (単純円筒形状であるため直径は均一である) 〈3〉重量38g 〈1〉全長76mm 〈2〉最大直径15.0mm 最小直径14.6mm (二段型円筒形状であるが故に、直径が均一でない) 〈3〉重量32g

模様 〈1〉引き目がついてザラザラしている。 〈1〉引き目はなく、スベスベつるつるしている。

色 〈1〉ヒートブルー(鉄を熱処理して透明感のある青色を出している) 〈1〉ニッケルシルバー(ニッケルのような銀色)

(別表〈2〉)

原告部品 被告部品

商品名 アウターバレルセットDX-Blue(アウターバレルとチェンバーカバーのセット) ○アウターバレル ○チェンバーカバー

アウターバレルについて 別表〈1〉と同じである。

チェンバーカバーについて

質的形状 〈1〉製品側面に楕円形の小窓を開けている(内部部品を確認できるようにするためと、圧縮ガスを漏らせることによりBB弾の発射威力が必要以上に高くならないようにするため。 〈2〉ネジ部の形状は全くの円である。 〈1〉製品側面に楕円形の小窓はない。 〈2〉ネジ部の形状は全くの円ではなく、平面の部分が2ケ所ある。

量的形状 〈1〉小窓の横径は18.2mm縦径は8.1mm 〈2〉2個の突起の幅は各3.7mm 〈3〉ネジ部の長さは14.0mm 〈4〉重量36g(重量が7倍以上も重い) 〈1〉小窓はそもそもない。 〈2〉2個の突起の幅は各4.2mm 〈3〉ネジ部の長さは3.2mm 〈4〉重量5g

模様 〈1〉実物の銃と同じように、ベルトサンダーにより研磨をかけて、緻密な横ラインの研磨跡を再現した。これにより、実物の銃に近い感じをかもし出すことができた。 〈2〉鋳造工法によるため、抜き型線も注入跡もない。 〈3〉刻印は「BARSTO 45 ACP」 〈1〉研磨跡は全くない。 〈2〉金型成型による工法を採用しているため、製品の上下及び左側面に抜き型線があり、左側面には更に樹脂注入跡が丸く3つ残っている。これにより、プラスチックモデルのような感じが生じ、質感がかなり低下していることは否めない。 〈3〉刻印は「COLT 45 AUTO」

色 〈1〉凸面が透明感のある青 〈2〉凹面がツヤを消した濃紺 〈3〉ネジ部はツヤを消した濃紺 〈1〉凸面はサテンシルバー 〈2〉凹面もサテンシルバー 〈3〉ネジ部は黒

(別表〈3〉)

原告部品 被告部品

商品名 アウターバレルセットDX-Silver(アウターバレルとチェンバーカバーのセット) 〇アウターバレル 〇チェンバーカバー

アウターバレルについて 色を除いて別表〈1〉と同じである。

色 〈1〉鉄素材の削り出しによる鉄本来の色 〈1〉ニッケルシルバー

チェンバーカバーについて 色を除いて別表〈2〉と同じである。

色 〈1〉凸面が鉄素材の削り出しによる鉄本来の色 〈2〉凹面がミディアムグレー 〈3〉ネジ部はミディアムグレー 〈1〉凸面はサテンシルバー 〈2〉凹面もサテンシルバー 〈3〉ネジ部は黒

(別表〈4〉)

原告部品 被告部品

商品名 アウターバレルセットS.T.D.(アウターバレルとチェンバーカバーのセット) 〇アウターバレル 〇チェンバーカバー

アウターバレルについて 色を除いて別表〈1〉と同じである。

色 〈1〉鉄素材の削り出しによる鉄本来の色 〈1〉ニッケルシルバー

チェンバーカバーについて 模様及び色を除いて別表〈2〉と同じである。

模様 〈1〉砂粉の吹き付け処理を施し、微細な凹面突感を実現することにより、意図的に半完成品の感じを出した(購入者が、各人の好みにより研磨、着色等を楽しむことができるようにするため)。 〈2〉鋳造工法によるため、抜き型線も注入跡もない。 〈3〉刻印は「BARSTO 45 ACP」 〈1〉砂粉の吹き付け処理はされていないため、半完成品の感じは全くない。 〈2〉金型成型による工法を採用しているため、製品の上下及び左側面に抜き型線があり、左側面には更に樹脂注入跡が丸く3つ残っている。これにより、プラスチックモデルのような感じが生じ、かなり質感が低下していることは否めない。 〈3〉刻印は「COLT 45 AUTO」

色 〈1〉凸面も凹面もネジ部もミディアムグレー 〈1〉凸面はサテンシルバー 〈2〉凹面もサテンシルバー 〈3〉ネジ部は黒

(別表〈5〉)

原告部品 被告部品

商品名 WA-GMスパーハンマー ハンマー

質的形状 〈1〉素材が高硬度のステンレスなので補強材を埋め込む必要はない。 〈1〉素材が低硬度の亜鉛合金であるため、打撃面を補強するための鋼鉄を埋め込んでいる。

量的形状 〈1〉全長33.8mm 〈2〉幅7.8mm 〈3〉重量18g (もともと小さい部品なので、この程度の差異であっても、遊戯銃マニアにとってはかなり重厚感に違いがあると受けとめられている) 〈1〉全長33.5mm 〈2〉幅7.5mm 〈3〉重量11g

模様 〈1〉両側面の研磨模様が横のラインである。 〈2〉ロストワックス工法を採用しているため注入跡は全くない。 〈1〉両側面の研磨模様が縦のラインである。 〈2〉金型成型の工法であるため、側面に注入跡が丸く2ケ所ついている。これにより、かなり質感が低下している。

色 〈1〉両側面はステンレス素材そのままの色(ステンレスは酸化しにくいので、その光沢は保たれる) 〈2〉側面以外の部分はツヤを消したグレー 〈1〉両側面は亜鉛合金独特のくすんだ色(亜鉛合金は酸化しやすいので、時間の経過によりますますくすんでいく) 〈2〉側面以外の部分はツヤのある黒

(別表〈6〉)

原告部品 被告部品

商品名 WA-GMショートスパーハンマー ハンマー

質的形状、模様、色は別表〈5〉と同じ。

量的形状 〈1〉全長33.8mm 〈2〉幅7.8mm 〈3〉重量16g 〈4〉指掛け(ハンマー後部)から打撃面までの長さ16.8mm (指掛け部分を短くすることにより、指掛け部分がグリップセフティに接触することを防止した。これにより、グリップセフティにハンマーによるキズが付かないようになった。) 〈1〉全長33.5mm 〈2〉幅7.5mm 〈3〉重量11g 〈4〉指掛け(ハンマー後部)から打撃面までの長さ19.5mm

(別表〈7〉)

原告部品 被告部品

商品名 WA-GMスパーWハンマー ハンマー

模様、色は別表〈5〉と同じ。

質的形状 〈1〉素材が高硬度のステンレスなので補強材を埋め込む必要はない。 〈2〉両側面に大きな穴を2ケ所も大胆に開けて、ハンマーとしては他に類をみない新規なデザインにした。 〈1〉素材が低硬度の亜鉛合金であるため、打撃面を補強するための鋼鉄を埋め込んでいる。 〈2〉両側面に穴は開いておらず、普通のデザインである。

量的形状 〈1〉全長33.8mm 〈2〉幅7.8mm 〈3〉重量15g 〈4〉穴の直径は5.4mmと4.3mm 〈1〉全長33.5mm 〈2〉幅7.8mm 〈3〉重量11g 〈4〉穴は開いていない

(別表〈8〉)

原告部品 被告部品

商品名 WA-GM&COMフローティングバルブ フローティングバルブ

質的形状 〈1〉製品の正面の形状は三角形である。 〈2〉製品の先端は平面である。 〈3〉製品中央部のゴム部分は、段差のないオーリングを使用している。 〈1〉製品の正面の形状はY型である。 〈2〉製品の先端はラウンドがついて丸味を帯びている。 〈3〉製品中央部のゴム部分は三段型パッキンを使用している。

量的形状 〈1〉全長28.9mm 〈2〉三つの羽根の長さ7.0mm 〈3〉ゴム部分の直径6.5mm 〈4〉軸の直径1.7mm 〈5〉重量2.5g (三つの羽根、ゴム部分、軸を各々小さく設計しているのは、圧縮ガスの流れをよりスムーズにするためである) 〈1〉全長28.4mm 〈2〉三つの羽根の長さ14.8mm 〈3〉ゴム部分の直径7.3mm 〈4〉軸の直径2.0mm 〈5〉重量1g以下

模様 〈1〉削り出し工法によるため、製品に切削工具の削り跡が残っている。 〈1〉金型成型のため削り跡はない。

色 〈1〉金色 〈1〉黒

(別表〈9〉)

原告部品 被告部品

商品名 ガバメント用LRBインナーバレル インナーバレル

質的形状 〈1〉内径が外径に対して偏芯している。 このように敢えて偏芯させている理由は、第2図のように、BB弾が、インナーバレルに進入する際、やや上向きになりながら進入するため、発射方向に対し下から上へ回転する力を得て、浮き上がるという効果(ホップアップ効果)により、飛距離が債務者商品の約2倍伸びるという点にある。 〈2〉内径の一部に面取りをしている。 〈3〉装着部に装着用リブを付けている。 〈1〉内径と外径の中心点は同一であり、偏芯していない。 〈2〉内径に面取りをしていない。外径の全周にわたり面取りをしている。 〈3〉装着部にリブはなく、逆に溝を付けている。

量的形状 重量23g 重量18g

色彩 真鍮の素材色 銀色メッキ色

(別表〈10〉)

原告部品 被告商品

商品名 ベレッタ用照準器 照準器

質的形状 〈1〉前方照準器(小さい方)と後方照準器(大きい方)との一対(2個の部品)によって構成されている。 〈2〉前方照準器に1個、後方照準器に2個の蓄光樹脂を埋め込んでいる(蓄光樹脂は昼間に光を貯蓄し、夜間に光を放つため、夜間の射撃を可能にした)。 〈3〉実際の使用性能を重視し、ベレッタの実銃とは全く異なるデザインにした。 〈1〉1個のみ。 〈2〉蓄光樹脂などない。 〈3〉ベレッタの実銃のコピーである。

量的形状 寸法、重量とも全く異なっている。

(別表〈11〉)

原告部品 被告商品

商品名 リコイルスプリングガイド スプリングガイド

質的形状 〈1〉ブローバックによりスライドが後退する際に、スライドを受けとめて衝撃を緩衝する効果(クッション効果)と、スライドがもとに復帰する際にその手助けをする効果(リバウンド効果)を得るために、スプリングを内蔵し、先端部の棒状部品が伸縮するようにした。 〈2〉後部が円形である。 〈1〉スプリングは内蔵しておらず、伸縮する棒状部品もないため、クッション効果もリバウンド効果もない。 〈2〉後部が馬蹄型である。

量的形状 全長57mm 全長45mm

(別表〈12〉)

原告部品 被告商品

商品名 ナショナルトリガー トリガー

質的形状 〈1〉トリガーストローク(弾丸を発射するために必要なトリガーの移動距離)を調整するネジを付けている。 〈2〉トリガーを装着したままの状態でトリガーストロークを調整できるようにするため、トリガーの側面に空豆状の大きな穴を開けた。 〈3〉トリガーストローク調整ネジがあるため、債務者商品本体のトリガーバーを5mm位切らなければ装着できない。 〈4〉小さな穴が3つある。 〈5〉指掛け部はなめらかである。 〈6〉指掛け部の曲線が緩い。 〈1〉トリガーストロークを調整するネジはない。 〈2〉トリガーストロークを調整することができないので、調整のための穴もない。 〈3〉トリガーバーを切らずとも装着できる。 〈4〉小さな穴が2つある。 〈5〉指掛け部に筋が入っている。 〈6〉指掛け部の曲線がきつい。

量的形状 寸法が両者は全く異なる。

(別表〈13〉) アウターバレルの形態

原告アウターバレル (ただし、次の商品におけるもの) A アウターバレルセットDX-Blue B アウターバレルセットDX-Silver C アウターバレルセットS.T.D. D 45AUTOアウターバレル 被告アウターバレル

基本的形態 鉄製の円筒 基本的形態 真鍮製の円筒

具体的形状 〈1〉銃口部に段差がない。 〈2〉銃口部内径に突起物がない。 〈3〉チェンバーカバーとの接合部内径にネジ溝が切られている。 〈4〉チェンバーカバーとの接合部付近に安全対策上の切欠きがある。 具体的形状 〈1〉銃口部に段差がある。 〈2〉銃口部内径に突起物がある。 〈3〉チェンバーカバーとの接合部内径にネジ溝が切られている。 〈4〉チェンバーカバーとの接合部付近に安全対策上の切欠きがある。

量的形状 〈1〉Dは全長97mm、その余は76mm 〈2〉直径14.8mm 〈3〉重量38g 量的形状 〈1〉全長76mm 〈2〉銃口部では直径15.0mm 〈3〉その余では直径14.6mm

模様 引き目がついてザラザラしている。 模様 引き目はなく、スベスベつるつるしている。

色 〈1〉A及びDはヒートブルー(鉄を熱処理して透明感のある青色を出している。) 〈2〉B及びCは鉄素材の削り出しによる鉄本来の色 色 ニッケルシルバー

(別表〈14〉) チェンバーカバーの形態

原告チェンバーカバー (ただし、次の商品におけるもの) A アウターバレルセットDX-Blue B アウターバレルセットDX-Silver C アウターバレルセットS.T.D. 被告チェンバーカバー

基本的形態 鉄製の円筒状の本体の後方下部両側に略台形状の一対の脚部が取り付けられている。 基本的形態 プラスチック製の円筒状の本体の後方下部両側に略台形状の一対の脚部が取り付けられている。

本体の具体的形状 〈1〉アウターバレルとの接合部は、外側にネジ溝が切られており、その断面は円形である。 〈2〉接合部に続く部分は、上部にスライド部とアウターバレル部をロックするための浅い凸状突起が設けられており、下部はやや膨らんでいる。 〈3〉ロック部後方は、ロック部の凸状部分とほぼ同じ太さの円筒で、底部にはインナーバレル部の基部が入り込むための切欠きがあり、側面に楕円形の小窓が設けられており、後端は上面のみが突出した形状となっている。 本体の具体的形状 〈1〉アウターバレルとの接合部は、外側にネジ溝が切られており、その断面は上下に直線部分を有する略円形状である。 〈2〉接合部に続く部分は、上部にスライド部とアウターバレル部をロックするための浅い凸状突起が設けられており、下部は後方に行くに連れてやや膨らんでいる。 〈3〉ロック部後方は、ロック部の凸状部分とほぼ同じ太さの円筒で、底部にはインナーバレル部の基部が入り込むための切欠きがあり、後端は上面のみが突出した形状となっている。

脚部の具体的形状 〈1〉脚部の間にはインナーバレル部の基部が入り込むための空間がある。 〈2〉各脚部下寄りにはリンクピンを組み合わせるための穴が開けられている。 脚部の具体的形状 〈1〉脚部の間にはインナーバレル部の基部が入り込むための空間がある。 〈2〉各脚部下寄りにはリンクピンを組み合わせるための穴が開けられている。

量的形状 〈1〉全長65mmで、うちネジ部の長さは14.0mm 〈2〉脚部の長さは各3.7mm 〈3〉重量36g 量的形状 〈1〉全長65mmで、うちネジ部の長さは13.2mm、 〈2〉脚部の長さは各4.2mm 〈3〉重量5g

模様 〈1〉A及びBでは緻密な横ラインの研磨跡がある。Cでは、砂粉の吹き付け処理を施し、意図的に半製品の感じを出した。 〈2〉鋳造工法によるため、抜き型線及び樹脂注入跡はない。 〈3〉ロック部工法の上部外面には、BARSTO45ACPの刻印がある。 模様 〈1〉研磨跡はない。 〈2〉上下外面及び左右外面に金型成型による抜き型線があり、左側面には円形の樹脂注入跡が3が所ある。 〈3〉ロック部後方の上部外面には、COLT.45 AUTOの刻印がある。

色 (A商品) 〈1〉凸面が透明感のある青 〈2〉凹面がツヤを消した青 〈3〉ネジ部はツヤを消した濃紺 (B商品) 〈1〉凸面が鉄素材の削り出しによる鉄本来の色 〈2〉凹面及びネジ部がミディアムグレ (C商品) すべてミディアムグレー 色 〈1〉ネジ部は黒。 〈2〉ネジ部以外はサテンシルバー

(別表〈15〉) ハンマーの形態

原告ハンマー (ただし、次の商品におけるもの) A WA-GMスパーハンマー B WA-GMショートスパーハンマー C WA-GMスパーWハンマー 被告ハンマー

基本的形態 ステンレス製で、逆長靴状の打撃部と円盤の一部を歯車状に切り欠いたノッチ部とから構成される。 基本的形態 亜鉛合金製で、逆長靴状の打撃部と円盤の一部を歯車状に切り欠いたノッチ部とから構成される。

打撃部の形状 〈1〉上面(長靴の底の部分)には、指掛け用の凹凸溝が切られている。 〈2〉圧入ピンはない。 〈3〉Cは、側面に2つの穴を開けている。 打撃部の形状 〈1〉上面(長靴の底の部分)には、指掛け用の凹凸溝が切られている。 〈2〉正面壁(長靴の後方部分)下部には、ファイアリングピンを直接打撃するための小さな鋼製ピンを圧入している。 〈3〉側面に穴はない。

ノッチ部の形状 〈1〉ノッチ部の側面には、大小2つの穴が貫通している。 〈2〉歯車状の切欠きは、上から順にリバウンドロックノッチ、ハーフコックノッチ、フルコックノッチが設けられている。フルコックノッチの幅はハンマー幅の半分であり、その余のノッチの幅はハンマー幅の全幅である。 ノッチ部の形状 〈1〉ノッチ部の側面には、大小2つの穴が貫通している。 〈2〉歯車状の切欠きは、上から順にリバウンドロックノッチ、ハーフコックノッチ、フルコックノッチが設けられている。フルコックノッチの幅はハンマー幅の半分であり、その余のノッチの幅はハンマー幅の全幅である。

量的形状 〈1〉全長33.8mm 〈2〉幅7.8mm

〈3〉重量は、Aが18g、Bが16g、Cが15g 〈4〉指掛け部分の長さは、A及びCが19.5mm、Bが16.8mm 量的形状 〈1〉全長33.5mm 〈2〉幅7.5mm 〈3〉重量11g 〈4〉指掛け部分の長さ19.5mm

模様 〈1〉両側面の研磨模様が横のラインである。 〈2〉注入跡はない。 模様 〈1〉両側面の研磨模様が縦のラインである。 〈2〉側面に丸い注入跡が2か所ある。

色 〈1〉両側面は、ステンレス素材そのままの色 〈2〉側面以外の部分はツヤを消したグレー 色 〈1〉両側面は亜鉛合金独特のくすんだ色 〈2〉側面以外の部分はツヤのある黒

(別表〈16〉) フローティングバルブの形態

原告フローティングバルブ (WA GM&COMフローティングバルブ) 被告フローティングバルブ

基本的形態 細長い三枚羽根状部分と先端がすぼまった円筒状部分とが、ゴム製の円盤状部分を挟んで接合されている。 基本的形態 細長い三枚羽根状部分と先端がすぼまった円筒状部分とが、ゴム製の円盤状部分を挟んで接合されている。

三枚羽根状部分の形状 〈1〉断面は、各辺の窪んだ三角形状をしている。 〈2〉基部では、丸棒状部分が三枚羽根部と円盤状部分をつなげている。 〈3〉三枚羽根部分が短く、丸棒部分が長い。 三枚羽根状部分の形状 〈1〉断面は、逆Y字型をしている。 〈2〉基部では、丸棒状部分が三枚羽根部と円盤状部分をつなげている。 〈3〉三枚羽根部分が長く、丸棒部分が短い。

円盤状部分の形状 断面は短辺に円みを帯びた長方形で、段差のないオーリングを使用している。 円盤状部分の形状 断面は長方形で、三段型パッキンを使用している。

円筒状部分の形状 すぼまった先端は尖っている。 円筒状部分の形状 すぼまった先端には丸みがある。

量的形状 〈1〉全長28.4mm 〈2〉三枚羽根部分の長さ7.0mm 〈3〉円盤状部分の直径6.5mm 〈4〉円筒状部分の直径1.7mm 〈5〉重量2.5g 量的形状 〈1〉全長28.4mm 〈2〉三枚羽根部分の長さ14.8mm 〈3〉円盤状部分の直径7.3mm 〈4〉円筒状部分の直径2.0mm 〈5〉重量1g以下

模様 削り出し工法による削り跡がある。 模様 削り跡はない。

色 金色 色 黒

別表〈17〉

非模倣部品の売上実績

〈省略〉

注1 単位:円

注2 甲32の1のうち、平成7年7月の売上分は加えていない。

注3 甲32の1のうち、返品計上分は売上に加えていない。

注4 「仮処分対象品」とは、次の商品名のものを指す。

〈1〉WA GM用チェンバー&アウターバレルセットDXシロ9800

〈2〉WA GM用チェンバー&アウターバレルセットDXブルー9800

〈3〉WA GM用チェンバー&アウターバレルセット

〈4〉WA GM用スパーハンマー

〈5〉WA GM用ショートハンマー

〈6〉WA GM用ウィルソンハンマー

〈7〉WA GM&MI フローティングバルブ

注5 「その他部品」とは、次の商品名のものを指す。

〈1〉92FS用オウルアイ

〈2〉WA GM&MI用オウルアイ

〈3〉WA GM用ワイドトリガー

〈4〉WA GM用NMトリガー

〈5〉45AUTOロングリコイルSPガイド

〈6〉WA コマンダー用ロングリコイルスプリングガイド

〈7〉WA GM LRB

〈8〉WA デザートイーグルLRB 6800

〈9〉WA 92FS LRB

〈10〉WA 92FSセンチュリオンLRB

〈11〉WA ミリタリーLRB

〈12〉WA GMチェンバー(単体)7000

注6 「直近半年間の月間平均」とは、「合計」表に基づき、当月を含めた直近半年間の売上高の月間平均を求めたものをいう。例えば、平成8年7月の欄は、同年2月から7月までの仮処分対象品等の売上げの月間平均額である。

(別紙)図面1の1 バレル構造図〈1〉

〈省略〉

(別紙)図面1の2 バレル構造図〈2〉

〈省略〉

(別紙)図面1の3 バレル構造図〈3〉

〈省略〉

(別紙)図面2 実銃のハンマーと被告ハンマーとの比較

(参考)実銃のシアーと被告シアーとの比較

〈省略〉

(別紙)図面3の1 フローティングバルブ

〈省略〉

(別紙)図面3の2 フローティングバルブとローディングノズル

〈省略〉

(別紙)図面4 実銃の各部品

〈省略〉

(別紙)図面5 実銃の作動原理

〈省略〉

(別紙)図面6 被告エアガンの各部品

〈省略〉

(別紙)図面7 被告エアガンの作動原理(1)

〈省略〉

(別紙)図面8 被告エアガンの作動原理(2)

〈省略〉

(別紙)図面9 被告エアガンの作動原理(3)

〈省略〉

(別紙)図面10 被告エアガンの作動原理(4)

〈省略〉

(別紙)図面11 被告エアガンの作動原理(5)

〈省略〉

(別紙)写真1 被告アウターバレル

〈省略〉

(別紙)写真2 被告チエンバーカバー

〈省略〉

(別紙)写真3 被告ハンマー

〈省略〉

(別紙)写真4 被告フローティングバルブ

〈省略〉

(別紙)写真5 原告アウターバレル

(45AUTO アウターバレル)

〈省略〉

(別紙)写真6 原告アウターバレルと原告チエンバカバー

(アウターバレルセットDX-Bulue)

〈省略〉

(別紙)写真7 原告アウターバレルと原告チエンバカバー

(アウターバレルセットDX-Silver)

〈省略〉

(別紙)写真8 原告アウターバレルと原告チエンバカバー

(アウターバレルセットS.T.D)

〈省略〉

(別紙)写真9 原告ハンマー

(WA-GMスパーハンマー)

〈省略〉

(別紙)写真10 原告ハンマー

(WA-GMショートスパー)

〈省略〉

(別紙)写真11 原告ハンマー

(WA-GMスパーリング)

〈省略〉

(別紙)写真12 原告フローティングバルブ

(WA GM&COM フローティングバルブ)

〈省略〉

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